こんにちは。
外用剤の混合というのが日常的に行われています。目的としては、塗布の手間を減らすこと、希釈によるステロイド外用剤の副作用の軽減、患者さんの症状に合わせた処方のため…とい理由のようです。
果たして実際目的通りの結果が得られているのか…。ある病院で調査をしたそうです。そのほとんどがステロイド外用剤と多剤との混合…。
特性の異なる基剤を混合した場合は、外観に変化があれば判るでしょうが、たとえ肉眼上で変化がなく見えても、性状に変化がないとは限りません。
また、混合による基剤の特性の変化は、効果へも影響を及ぼします。
薬剤の効果発現に大きく影響する主薬(ステロイド外用剤など)の皮膚への透過性は、基剤により大きく異なり、軟膏よりもクリームの方がはるかに優れています。このため、外用剤を混合することで主薬の皮膚透過性が変化し、ひいては効果にも影響を及ぼす可能性があります。
外用剤の混合では、油脂性基剤のステロイド外用剤と乳剤性基剤の保湿剤との組み合わせが最も多く行われているようですが、この場合、皮膚透過性に優れる乳剤性基剤の保湿剤との混合により、ステロイド外用剤の皮膚透過性は大きくなります。混合することで希釈されても、皮膚透過性は強くなる可能性があるんです。
それで、ステロイド外用剤は希釈すると効果や副作用は減るのか?ということですが、結果から言うと効果に変化はない…ということです。
外用剤から皮膚への薬物の移行は、外用剤中の薬物の濃度に依存します。濃度というのは、基剤の中に溶けている薬物の濃度…たとえるなら水(基剤)に溶けた塩(薬物)の濃度…塩水の濃度です。
水に大量の塩を入れてかき混ぜた場合、最大限溶けて残りの大部分は結晶として存在します。ここに同量の水を加えても、溶け残っている塩が溶けることで濃度は一定に保たれます。
外用剤の場合でも、溶けている濃度が効果に影響するため、この場合2倍に希釈しても効果には影響がない…というわけです。理論的には数十倍以上に希釈しないと、効果・副作用の減弱にはならない…ということです。
なので、希釈されているわけではありませんので、つけ過ぎには注意が必要です。