こんにちは。

発疹がないにも関わらず、乾燥によって強い痒みがある状態を老人性皮膚掻痒症と呼びます。年齢とともに、皮膚の表面を覆う皮脂膜も不十分になるので、水分が蒸発しやすいからです。

特に冬は乾燥し、汗もかきにくいので皮膚がカサカサになりやすく、痒みが増します。暖房や入浴の仕方に気を付け、皮膚を乾燥させないようにすることに気を付けて下さい。

ボクたちの皮膚の角質細胞内にはNMF(天然保湿因子)が存在していて、細胞と細胞の間では細胞間脂質がその隙間を埋めて、それぞれが水分量を適度に調整しています。もともとNMFが少なかったり、紫外線や冷暖房などの環境や、洗剤や摩擦などによる刺激によって、肌の保湿機能が低下すると、乾燥が生じるようになります。

また、ボクたちの皮膚の表面を覆って水分の蒸発を防ぐ皮脂の分泌量は、年齢とともに変化します。新生児は活発で、幼児から小児期にかけて減少し、思春期に増加…その後は加齢に伴って表皮が薄くなり、皮脂分泌量も低下して乾燥しやすくなります。

石鹸でゴシゴシ洗うと、余計に皮脂膜を失いますので要注意。また、日頃から体質に合った保湿剤を使用し、潤いを保つことが大切です。

先日ご相談いただいたご高齢の方…。年末に両足首から先が痒かったので「キンカン」を塗られました。もともと「キンカン」が気に入っていていらっしゃったので、しばらく続けていたんだそうですが、それを続けられた結果、ウチに来られたとき塗った部分の皮膚がただれ、表皮がボロボロの状態でした。

全身痒みがあるようですが、コタツで温まった足先が特に痒かったようです。

表皮が薄く皮脂分泌量が低下しているうえに、さらに暖房で水分の蒸発が加わって痒みが出ていたんだと思います。そんな弱った皮膚に対し、刺激の強い「キンカン」を塗ったことが、逆に症状を悪化させた…と考えられます。

この場合、スキンケアで皮膚のバリア機能を保護してあげることが大切で、バリア機能がしっかりしてくれば痒みは落ち着いてくるはずです。