こんにちは。
人間は自然の一部であり、四季の移り変わりに合わせて人の体も変化します。
中医学では「天人合一」と言って、自然界の陰陽の変化に従いボクたちの体の陰陽も変化していくという考えがあります。春は「陰が徐々に弱く、陽が強くなる時期」、夏は「陽気がもっとも強く、陰が弱まる時期」、秋は「陽盛から陰盛に変わる重要な時期」、冬は「陰が盛んで、陽が弱くなる時期」です。
一年間における皮膚の変化も一直線ではないわけです。
春敏(敏感)、夏脂(暑熱・赤み)、秋燥(乾燥)、冬寒(冷え・亀裂)と季節により特徴があります。
春は肝、風木の季節。この時期は皮膚代謝も盛んになりつつあります。皮膚の適応性がまだ低く、不安定なのでもあり、風邪などに触れる機会が多くなります。鼻炎・花粉症の多発する季節でもあります。
春によくみられる皮膚トラブルとしては、接触性皮膚炎(かぶれ)、蕁麻疹、アトピー性皮膚炎などです。
夏は暑さ(熱)と湿気が影響する季節。皮膚代謝は活発、汗腺・皮脂腺も最も活躍している時期です。湿度が80%を超え、気温は30℃を超えると皮膚の体温調節機能がうまく働かなくなる傾向があり、脂性が目立ち、雑菌(邪気)は繁殖しやすくなる一方、皮膚の免疫力が低下傾向にあります。津液(体液)の消耗も多いため、皮膚は外脂内乾の傾向に。日光/暑熱/紫外線の影響を受け、肌荒れが発生しやすく、皮膚が赤くなる傾向にあります。
夏によくみられる皮膚トラブルとしては、日光性皮膚炎(日焼け)、汗疹(あせも)、ニキビ、真菌症(みずむしなど)、湿疹などです。
秋は気温が徐々に低下し乾燥が影響する季節。皮膚の代謝と排泄が徐々に低下する傾向にあり、皮膚の含水率は減少し、水分量よりも脂質の減りが目立ちます。皮脂分泌-表皮の保湿のバランスが乱れやすく、乾燥によって小じわ、フケが増える傾向にあります。夏の暑熱の影響はまた残存し、肌の不安定もみられます。
秋によくみられる皮膚トラブルとしては、慢性湿疹、皮膚掻痒症、アトピー性皮膚炎などです。
冬は冷えが影響する季節。気化機能の低下、皮膚の代謝力が一番低い時期、免疫力低下もあります。汗腺、皮脂腺の分泌も最低のレベルになり、瘀血傾向になりやすく、皮膚に色素沈着、しもやけ、皮膚の亀裂など起こりやすくなります。乾燥もさらに増え、寒冷によって皮膚感覚機能が低下してきます。
冬によくみられる皮膚トラブルとしては、尋常性乾癬、しもやけ、皮膚掻痒症、皮脂欠乏性湿疹などです。
季節により、肌は変化しますが、気候の変化が正常範囲内なら、皮膚トラブルも起こりにくいです。それぞれの季節ごとに多発する皮膚病があります。季節ごとの皮膚の保護(養生)や治療方針も違います。
一年間における皮膚の変化も一直線ではなく、四季の皮膚の特徴を知っておくことは、皮膚トラブルで一喜一憂する心配も減るのではないかと思います。