こんにちは。
中医学では、体内の生理機能を大きく5つの系統に分け、「肝」「心」「脾」「肺」「腎」と名付けました。
その中で、特に重要と考えているのが「腎」です。
「腎」は腎臓と同じ字を使っていますが、中医学にとってその機能はもっともっと広い意味として捉えています。
「腎」は生命エネルギーをつかさどるもので、精力の精にもつながり、ホルモンと密接な関係があるとされています。
すなわち、性ホルモンをはじめ、副腎ホルモン、インスリンや甲状腺のホルモンの調整と深く関わるので、『精の貯蔵庫』のようなものです。
子どもをつくる生殖機能をはじめ、尿による水分の調節や、体内の水分代謝、肌のみずみずしさや若さを保つのも、「腎」のはたらきによるものです。
なので、その「腎」のはたらきが低下すると、さまざまな障害が起こります。
例えば、男性ではインポテンツになったり、精子の製造能力が低下したりします。
女性では閉経など、いわゆる生命力の衰えによる老化現象があらわれます。卵子の老化も、「腎」の衰えと関係があります。
体内の骨や歯をつくるはたらきも「腎」と言われ、「腎」のはたらきが低下すると、骨がもろくなり、骨粗鬆症などの症状が出てきます。特に女性は、閉経後にホルモンの低下により、男性よりも骨粗鬆症なるリスクが高くなります。それも「腎」とホルモンの関係があることをあらわしています。
さらに「腎」は、骨髄や脳の機能にも関係し、その低下により物忘れが多くなる事にも…。
このように、「腎」が衰弱した状態のことを「腎虚(じんきょ)」と言います。
「腎虚」はひとつの老化…のようなものですが、老化は人間だれも逃れることはできません。人の一生は投げたボールのようなもので、そのボールの飛ぶ距離は人それぞれ違います。いかに遠くに飛ぶか…それは「腎」にかかっていると考えます。「腎虚」の人は、その飛距離も短い…ということです。
「腎虚」を大きく分けると、手足のほてりやのぼせといった熱症状を生じる「腎陰虚(じんいんきょ)」と、逆にエネルギー不足で寒気や冷えを生じる「腎陽虚(じんようきょ)」とあります。
このような「腎虚」を改善する方法が「補腎(ほじん)」であり、「腎」を強化してホルモンの調節に役立つのが「補腎薬(ほじんやく)」というものです。