こんにちは。

中医学では、体内の生理機能を大きく5つの系統に分け、「肝」「心」「脾」「肺」「腎」と名付けましたが、「腎」と並んで重要なのが「肝」。ものごとの最も大切なことを「肝腎(かんじん)/肝心」といいますよね。

中医学では「肝腎同源(かんじんどうげん)」という言葉があるんですが、「肝」は「腎」とお互い助け合い、ボクたちの生命の根源をつかさどると考えられています。

「肝」のはたらきのひとつに「疏泄(そせつ)」というものがあります。

「疏泄」というのは、体内の流通のことです。血液の流通機能や血液に栄養を与え、老廃物を取り除く代謝機能、キレイな血液を貯蔵する機能などを含めて考えています。

西洋医学の「肝臓」のはたらきにかなり近い考え方ですが、中医学ではもう少し広い範囲の生理機能まで含めています。

中医学では、血液は「心臓」だけで循環しているわけではなく、「肝」の流通調節の助けを受けて、はじめて円滑に流れる…と考えるんです。

例えば、目は「肝」から血液をもらって、はじめて物の形や色を見分けることができるし、手も同様にして、物をしっかりつかむことができる…と言われ、目や手のはたらきに「肝」が大きく関係していることが分かります。

また、「肝」のはたらきが低下すると、集中力を失い、イライラして怒りやすくもなります。

これは「肝」が精神活動にも大きく関与している証拠で、精神的ストレスが強いと、脳が大量の血液を必要とするために、「肝」がフル回転して供給しなければならなくなります。その結果、「肝気鬱血(かんきうっけつ)」という、「肝」のはたらき過ぎの状態になってしまいます。

この「肝気鬱血」の状態が長引くと、寝つきが悪くなる、胸や上腹部がつかえるなど「肝」の異常状態があらわれることも…。

それを改善するには、「肝」のはたらきを高めて、ストレスに対する抵抗力を強化することが「肝腎」です。その改善法を「疏肝解鬱(そかんげうつ)」と言います。

「肝」の緊張をほぐして、「疏肝解鬱」のはたらきのあるものを「疏肝解鬱薬」と言います。