こんにちは。
身近な嗜好品として多くの人に親しまれているコーヒー。最近では、コンビニや回転寿司などでも本格的な挽き立てが手軽に楽しめますよね。
しかし、巷ではコーヒーが体に良い…という情報もあれば、体に悪い…という考えも。
今回、東京薬科大学名誉教授で、金沢大学コーヒー学講座講師である「岡希太郎(おか・きたろう)」先生のお話を紹介させていただきます。岡先生のコーヒー研究は、定年をまたいで10年近くのライフワークなんだそうです。
コーヒーが体に悪いイメージは、主に「飲むと目が冴えて夜眠れなくなる」「トイレが近くなる」。肝臓や心臓に不安を抱える人が病院で、余計な負担を掛けない方がいいと言われて飲むのをやめたり、あるいは妊婦、授乳婦が飲むのを禁じられたりすることも、ネガティブなイメージに結びついているようです。それはいずれも「カフェイン」が悪者とされているようです。
しかし最近の研究では、「カフェイン」はパーキンソン病やアルツハイマー病などの神経病、そしてガン全般に効果があることも明らかになっているようですね。
岡先生がコーヒーの研究を始めるきっけも、コーヒーを飲んでいる人は2型糖尿病になりにくい…という、ある論文だったそうです。
まず、おススメの豆選びは「深煎り豆と浅煎り豆のブレンド」なんだそうです。
コーヒー豆の成分で、病気の予防に関係することが明らかになっているのは「カフェイン」「クロロゲン酸」「ニコチン酸(ビタミンB3)」「N-メチルピリジウムイオン(NMP)」。「NMP」は、コーヒーのカフェインと、豆を焙煎したときに出てくる成分です。
このうち、「クロロゲン酸」は熱に弱いため、その分解を防ぐにはコーヒー豆を焙煎する際に浅煎りにとどめる必要があります。
「クロロゲン酸」には、抗酸化作用、糖分の吸収を遅くして食後の急激な血糖の上昇を抑えてくれる作用、副交感神経を刺激して血圧を下げる作用、肝臓や筋肉での遊離脂肪酸を分解促進などの作用があり、カフェインと一緒に摂ることで、生活習慣病の予防に欠かせない要素なんだとか。
しかし、浅煎りでは得られないのが「ニコチン酸」と「NMP」。生豆に大量に含まれる「トリゴネリン」が、熱を加えると変化する成分だからです。
「ニコチン酸」は高脂血症を治療する医薬品にもなっていて、ストレスが原因で起こる脂肪組織からの遊離脂肪酸の流出を抑えるはたらきがあります。また、血管壁を保護したり、血小板の活性化を抑えて血を固まりにくくする作用ももっています。
「NMP」は副交感神経を刺激して気分を和らげ、大腸の蠕動運動を亢進させたり、血圧を下げたりします。また、強い抗酸化作用があり、発ガン性物質の解毒にもはたらいています。
なので、「深煎り豆と浅煎り豆のブレンド」が、4つの成分をまんべんなく摂ることになります。
専門店では、煎り方の度合いに8段階あるそうです。浅煎りから、「ライトロースト」「シナモンロースト」「ミディアムロースト」「ハイロースト」「シティロースト」「フルシティーロースト」「フレンチロースト」「イタリアンロースト」。
一般的によく売られているのは「ミディアム~フレンチ」までで、「クロロゲン酸」をより多く摂るには「ミディアム」あたりなんだそうです。「ニコチン酸」と「NMP」を摂るためには「フルシティ」か「フレンチ」あたりなんだとか。
また、コーヒーの魅力に「香り」があります。コーヒーのいい香りが、リラックス効果をもたらしています。
食べ物が焦げるときの香ばしい香りもとである「2・5-ジメチルピラジン」は、焙煎の熱で起こるメイラード反応で発生する成分。コーヒーの香りにはこれとそっくりの成分が多数あるそうです。
日本人は、何か体に良いという情報を耳にすると、すぐにそこに殺到する…傾向があります。コーヒーには、病気に対していい効果があるんですが、飲み過ぎは良くありません。飲み過ぎると、脳卒中のリスクがあるんだとか。
岡先生によると、1日に4杯くらいがいいんでは…とのこと。ただ、それも個人差はあるでしょうが。
そして、最も美味しいのは最初に出てくる50ccまでで、その中に有効成分の90%以上が入っているそうです。その後出てくるのは雑味なんだとか。
なので、このことを「健康を意識した美味しいコーヒー」は、①浅煎りと深煎りを1対1で②布、紙のフィルターで90℃以下のお湯でゆっくり抽出③最初の50ccを④1日4杯まで…ということになります。