こんにちは。

ストレスには本来、「力によって物体に生じるゆがみ」という意味があります。

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これを医学に応用したのがカナダのハンス・セリエという学者です。彼は、体に外から加えられる刺激をストレッサー、それによって体に生じた反応(ひずみ)をストレスと言っています。

仕事が忙しい、家族が病気になった…などいやなことや精神的な心配ごとが、ストレスを引き起こす原因になることはい言うまでもありませんが、結婚、妊娠、出産、子どもの進学、職場での昇級など本来嬉しいはずのものも、場合によってはストレスの原因となります。

このようにストレスはどこにでもありますので、これを避けて生きることは非常に難しいことであり、むしろストレスと上手く付き合って行くのが重要なのです。

最近、急増している糖尿病、高血圧、高脂血症などの生活習慣病やアトピー、ガンもストレスと密接な関係があると言われています。

ストレスを溜めると悪いということは多くの人が知っています。ストレスを発散するために自分の趣味を優先したり、ときに思い切って休みを取ってみるのも大切なのかもしれません。

日本人は諸外国に比べて、比較的胃腸が弱いという民族性があると言われています。

神経的にまいっているときに「胃が痛い…」と表現するように、ストレスが胃腸に影響を与えやすいということは、ご存知のことと思います。

胃腸の機能が低下すると十分な栄養を吸収することが出来なくなるので、体調が悪くなり、ストレスに対する抵抗力も弱くなってしまいます。まずは、ストレスが胃や腸に影響を及ぼします。

また、ストレスが長引くと、体の中に病理産物が蓄積され、これがまた新しい病気を引き起こします。

外国では見られないと言われる「肩こり」。肩こりは、主に血行不良によるものですが、ストレスはその肩こりを助長して、場合によっては全身的な血行不良となり、心筋梗塞や脳卒中の原因ともなります。

日本人は、勤勉で几帳面な性格…と言われています。それだけストレスを溜めこみやすい民族である…とも言えます。

そのストレスを引き起こす刺激には、温度、外傷、騒音などの「物理的なもの」、不快なニオイなどの「化学的なもの」、感染などの「生理的なもの」、対人関係など「心理・社会的なもの」…など様々で、これらは時代が進むとともに更に多様化、複雑化していく傾向があります。

これらが引き起こされるメカニズムは、まだ完全に解明されているわけではありませんが、脳内物質、内分泌系、免疫系、自律神経系などに影響を与えることが分かっています。

脳内物質とは、脳が受けた様々な刺激を神経から神経に伝える物質で、神経伝達物質と呼ばれています。

神経伝達物質の1つである「セロトニン」は気分の変調と関係していて、これが減少すると抑うつ状態になり、逆に増加すると気分が高揚して元気になることから、うつ病の治療薬として使われています。

慢性的なストレスは、内分泌系に影響を与え、アドレナリン、ノルアドレナリン、コルチコステロイドなどのホルモンなどの分泌を増加します。これらは高血圧、動脈硬化、糖尿病、心臓病など生活習慣病と密接な関係があります。

受験当日や結婚式の日に限って、カゼを引いてしまう…ということをよく聞きます。免疫は副腎皮質や胸腺、脾臓にあるリンパ節と密接な関係があります。これらは、ホルモンや自律神経の影響を受けていて、ストレスが免疫力、抵抗力を低下させて病気になりやすくなると考えられます。

しかし、同じような状態にあっても病気になる人とならない人がいます。これは、病気の発生は外的な刺激だけでなく、内的な要因が大きく影響していることをあらわしています。

普段から睡眠、食事、運動、休息などの健康管理に心がけることです。また、「病は気から」と言うように、しっかりとした意志をもつことが、ストレス社会で生き抜くポイントです。