こんにちは。
漢方薬を飲まれる際に大切なことは、その人の体質に合っているか、病状(証)に合っているかです。漢方薬は西洋薬のように病名に対して処方するのでは、適さないことがあります。カゼでも「寒熱」どちらかで、違った処方になります。適応症だけをみると見ると同じ場合でも、全く違う場合があるので注意が必要です。
また、西洋薬と漢方薬を併用する場合でも、成分や作用が重複する場合があるり、注意が必要です。
その中で、気を付けたいのが「カンゾウ」や「マオウ」を含む処方です。
「カンゾウ」の含有成分の一つ、グリチルリチン酸には、カリウム排泄促進作用があり、血清カリウム値の低下が促進される可能性があります。摂取過多や長期服用により、血清カリウム値が低下すると、低カリウム血症や偽アルドステロン症の症状として、血圧上昇やむくみ、体重増加、脱力感、筋肉痛、しびれ、けいれんなどが表れやすくなります。西洋薬の中で、「カンゾウ」に気を付けないといけない西洋薬として、利尿薬があります。また、「カンゾウ」を含む漢方薬は非常に多いので、気を付けてみてください。
「マオウ」の場合は、主成分であるエフェドリンの交感神経作用により、不眠、動悸、頻脈、発汗過多、脱力感、興奮、頭痛、震え、血圧上昇、排尿困難などの症状が出る場合があります。カゼ薬や気管支拡張剤の中にも含まれている場合があるので、注意が必要です。
余談ですが、「マオウ」の主成分エフェドリン、これはドーピング薬の禁止薬物なんですよ。これは、カゼ薬や漢方薬の中に含まれている為、つい「うっかり」で飲まれるとドーピング検査に引っかかってしまうんです。ドーピングに引っかかると、選手生命に影響するくらいの事なんです。
2011年、ボクたち山口市薬剤師会は、「おいでませ山口国体・山口大会」でドーピング薬に詳しい「スポーツファーマシスト」を育成し、「うっかりドーピング」を出さない為、活動を行ってきました。その結果、一人の違反者も出さず、また山口県が天皇杯・皇后杯を制し、見事総合優勝を果たす事ができました。あの時の感動は忘れられません。
話は脱線しましたが、基本的に漢方薬はその人の「証」に合っていれば、副作用の心配は減りますし、個人差もありますので、全く怖がる心配はありません。ただ、「証」に合った漢方薬の使い方、これが大事だと思います。