こんにちは。
中医学では、体を構成し生命活動を維持するのに必要なものと人体の抗病能力を「正気(せいき)」と呼んでいます。また、この「正気」のバランスを乱し、病気にしてしまうのを「邪気(じゃき)」と呼びます。
病気になる原因には、「邪気」が強すぎるケースと、「正気」が弱すぎるケースが考えられます。
まず、病気の原因がどっちにあるのか…判断する必要があります。
「正気」の中でも、病気から体を守る働きのある気を「衛気(えき)」と言います。「衛気」は、いくつかの段階を経て熟成され、「邪気」と戦い、ボクたちを病気にならないように、また病気を治すことができるようになります。
「衛気」の根源は「腎」
「 腎」には「精(せい)」と呼ばれる生命活動の根源となるものが蓄えられています。この「精」は両親から受け継いだもの。生長、発育、生殖、老化などに関与しています。この「精」が基礎となって原始的な「衛気」がつくられます。
したがって、生まれつき病弱であったり、過労や高齢のため体力が低下すると、「衛気」の材料である「腎精」の不足から「衛気」をつくることができなくなります。
中医学でいう「腎」には腎臓、副腎のほか、骨、骨髄、胸腺、脳下垂体などのはたらきも含まれています。現代医学では、これらは免疫細胞の生成や調節と密接な関係があるとしています。
「衛気」は「脾(消化器系)」から栄養を受ける
現代医学でも脾臓は免疫と密接な関係があると考えられます。中医学でいう「脾」は脾臓のほかに胃腸のはたらきも含まれます。
「腎」で生まれた原始的な「衛気」は「脾」から栄養を受けることで、より強い「衛気」になります。つまり「先天の気」と「後天の気」が交わることで、強いエネルギーが生まれます。
「衛気」は「肺」のはたらきで全身に運ばれる
より強くなった「衛気」、いよいよ「邪気」と戦うべく全身に運ばれます。
多くの邪気は皮膚や鼻・のどの粘膜から体の中に侵入します。なので「衛気」はこのあたりを中心となって警備に当たります。
「肺」には「宣発粛降(せんぱつしゅくこう)」といって、気を全身に運ぶはたらきがあります。「肺」は呼吸器系、つまり鼻やのど、皮膚と密接な関係があります。
この「腎」「脾」「肺」のはたらきにより、ボクたちの体は「衛気」という皮膚・粘膜バリアによって守られているんです。