こんにちは。

病気を考えるとき、西洋医学では通常、1つの病気に1つの原因(病因)があり、それを排除する治療が行われます。

例えば、感染症の原因は細菌が体内に侵入したことであり、治療としては細菌の増殖を抑制する抗生物質などが出ます。

一方、中医学の場合は病因は1つではなく、直接的な病因と間接的な病因が複数関与して病気を引き起こすと考えます。つまり、外的要因と内的要因です。

外的要因は生体機能にダメージを与えるもの、内的要因はその影響を受ける体の抵抗力の低下などです。

体にダメージを与える外的要因を「誘因」、体の内的要因を「素因」と言います。

同じ環境の中でも、「素因」の違いによって病気になる人とならない人がいます。

例えばインフルエンザにかかる人とかからない人。花粉症になる人とならない人。その違いは「素因」の違いと考えます。

このように病因は「素因」と「誘因」が相互に複合的に絡んでいるため、病気の発症にも違いが出る…というのが中医学の考え方です。

そのため、病気の治療は外的要因である「誘因」の排除だけでなく、内的要因である「素因」の問題を解消することも大切なんです。

それには、食事や睡眠などの生活習慣の見直しが大切です。

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中医学では、体がもつ抵抗力を「正気(せいき)」、体の生命活動を妨げる要因を「邪気(じゃき)」と呼びます。

「正気」は、生命活動を支える「気」「血」「津液」や「五臓」のはたらきがスムーズなことで強くなります。そのため、このはたらきが低下すると、「正気」は弱まります。

「邪気」には、体に害を与える食べ物や細菌、ウイルス、汚染物質などのほか、体にとって負担となる温度や湿度なども含まれます。体の機能の低下、亢進、失調など弊害をもたらす心理的な要因も含まれます。

「正気」と「邪気」は押し合いへし合いの力比べをしています。つまり、「邪気」の勢いが「正気」を上回ると病気になる…ということです。

「誘因」だけでなく、「素因」にも目を向けることが大切なのです。