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中医学では、「腎」は老化と深く関わる臓器。いわゆる下半身の衰えとも関係しています。生殖、ホルモン、免疫、泌尿器、自律神経などの機能とも関連していて、「腎」が弱いと健康な体をつくることができません。

そんな生命活動の根本である「腎」を補うものを「補腎薬」と言い、代表的な漢方薬が「六味地黄丸」です。「六味地黄丸」は熟地黄、山茱萸、山薬、牡丹皮、沢瀉、茯苓の6つの生薬から出来ています。

体を潤し、呼吸器系や皮膚疾患に使われる「補腎薬」に「八仙丸」があります。「六味地黄丸」に麦門冬、五味子の2つの生薬を加えたものです。「八仙丸」は、八仙長寿丸とも呼ばれ、中国のある地域の不老長寿の秘薬として伝えられてきた処方です。年をとって体力が衰え、疲労感があったり足腰がだるいという「腎虚(腎の衰え)」の症状の他、呼吸器系が弱く咳や痰などが続き息切れがひどいような人に向きます。慢性の気管支炎や喘息などに悩むご高齢の方にはいいと思います。

中医学では「肺は気を司り、腎は気を納める」と言われますが、呼吸は「肺」と「腎」の共同作業によってなされていると考えられます。「肺」と「腎」のいずれかの機能が衰えるともう一方にも影響を及ぼすとされます。

麦門冬と五味子はどちらも「肺」の機能を改善する働きがあります。中医学でいう「肺」とは、肺などの呼吸器系の他に鼻や皮膚や体毛なども含められます。

麦門冬は体に潤いを与え、「肺」に湿り気を与えて痰を出しやすくし、咳を鎮める効果もあります。

五味子は体を引き締める作用があり、体の外に出ようとするもの、すなわち汗や、鼻水、咳などが1年中出て困るようなとき、これを抑える効果があるとされたいます。

「八仙丸」はこの2つの生薬の効果によって、肌をしっとりさせ、のどや気管支などの呼吸系統の器官を潤わせ、痰の切れをよくして咳も鎮めることが期待できます。

「肺」の機能が改善されれば、のどや気道も強くなるので、ここから侵入する細菌やウイルス、花粉などのアレルゲンに対する抵抗力も高まります。

また「八仙丸」はアトピー性皮膚炎の人に多い「肺」と「腎」の両方の機能が衰えている体質改善の薬としてもいいです。肌をしっとりさせる働きがあるので、特にカサカサした湿疹の基礎治療として有効だと思います。