こんにちは。
中医学では「天人合一」と言って、自然界の陰陽の変化に従いボクたちの体の陰陽も変化していくという考えがあります。ライフスタイルが大きく変化した現代の暮らしにおいて、季節の移ろいを感じることも少なくなってしまったかもしれませんが、季節や体調に合わせた養生をすることで、自然に逆らわない、健康的な生活が送れます。
春
徐々に陽気が高まる春。体の気が頭部に上昇しやすいので、「肝」の働きを整えましょう。
冬の寒冷な気候が和らぎ、自然界では「陰消陽長」により、陰気が徐々に弱まり、陽気が強くなってきます。春の陽気とともに、五臓の「肝」の機能が刺激され、イライラ、目の充血、めまい、頭痛など、体の上部にトラブルが起こりやすくなります。肝の働きを調整するもの、熱を冷ますものをとるよういしましょう。はまぐり、セロリ、あさりなど旬の食材もおススメです。
冬の間にたまった老廃物を排出する時期でもありますが、そのためには体にエネルギーが満ちていないとその力は発揮できません。気力体力がない人は、穀物類、豆類、イモ類などでパワーをつけましょう。
肝はストレスを真っ先に受ける臓器なので、窮屈な服装は避けリラックスを心掛けましょう。
春のキーワードは「発散」「外向き」「早寝早起き」「デトックス&リラックス」です。
夏
体を冷ます夏野菜で暑さを乗り切りましょう。冷房による「夏冷え」にも気を付けて。
木々が成長し、気温が高くなり、陽気がピークを迎えます。気温の上昇に伴い、汗が出て、気や体に必要な水分が消耗するので、夏バテ、熱中症、口の渇きなどが起こりやすくなります。スイカ🍉、メロン🍈、トマト🍅、キュウリ🥒、冬瓜などの旬の食材は水分を補い、体にこもった熱を冷ましてくれます。
注意したいのが、冷房の影響による「夏冷え」です。体の冷やし過ぎで調子を悪くすることがあるので、体を温めるネギ、シソ、山椒、トウガラシなどを上手に使いましょう。
梅雨時は蒸し暑くてついつい冷たいものに手を出してしまいがちです。冷たいものや生ものは消化機能を低下させ、浮腫み、ダルさ、下痢などの症状が起こりやすいので注意しましょう。
夏のキーワードは「活動」「除湿」「解熱」「発汗」「排出」です。
秋
夏の暑さが残り、冬への準備期間となる秋。「肺」を潤して乾燥を防ぐ秋の味覚をいただきましょう。
朝夕もしのぎやすく、自然界では徐々に陽から陰に変化していきます。夏の暑熱が残る秋の始めは「温燥」といい、体を涼やかにして肺を潤すものを摂りましょう。秋の味覚では、柿、梨🍐、きくらげなどが代表的。冬の寒気が重なってくる晩秋は「涼燥」といい、体を温めて肺を潤す、クルミ、松の実、落花生などを食べると良いです。
夏バテが残っている場合にも、旬の食材が有効的です。長いも、サツマイモ🍠、サトイモ、カツオ、サンマ、ブドウ🍇などは元気をつけ、ダルさを改善してくれます。
この時期、咳や喘息が気になる場合は、銀杏や杏の種(杏仁豆腐の材料)も薬膳でよく用いられます。香辛料やコーヒー、お酒の摂り過ぎは乾燥を生み、肺を傷つけやすいので注意しましょう。
秋のキーワードは「保湿」「補給」「収斂」「楽観的」です。
冬
動物たちが冬ごもりする季節。体を温める食材を積極的に摂って、春に向けて「腎」を養いましょう。
草木は枯れ、動物は冬眠し、自然界では最も陰が増す季節です。寒さと乾燥で、冷え症には辛い時期です。気血の巡りが悪くなり、冷え、しもやけ、下痢、関節痛や腰痛などが起こりやすくなります。五臓の中では「腎」が弱まりやすくなります。腎は冷えを嫌う臓器なので、カボチャ、ニラ、カブ、ネギ、マグロ、羊肉などの体を温める食材を積極的に摂るようにしましょう。
大根、ほうれん草、牡蠣、白菜、カニ🦀なども美味しい季節で、体に潤いを与えてくれますが、同時に冷やす作用もあります。加熱して食べるなど、調理に工夫をしてみてください。
冬は「収蔵」といい、しっかりと体を休めて滋養し、春に向けてパワーを温存しましょう。
冬のキーワードは「貯蔵」「温存」「アンチエイジング」「休息」「強壮」です。