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多くの人を悩ませるつらい「腰痛」。日本人が感じる自覚症状では男性1位、女性2位にのぼり、もはや「国民病」と言われるほど身近な症状です。

「腰痛」の原因は様々で、椎間板ヘルニアや内臓の病気など、痛みの原因を特定できる「腰痛」は全体の15%ほど。残りの85%は原因がはっきりしない「腰痛」です。生活習慣や労働環境との関わりが深く、ストレスや喫煙などの「腰痛」の原因と考えます。

中医学では、「腰痛」は腰回りの問題だけでなく、体内の不調にも原因があると考えます。例えば、高齢で腰のダルさや痛みがある場合は「腎の虚弱」が主な原因に。また、腰の痛みが強い場合は「瘀血(血行不良)」、腰が冷えて痛い場合は「患者と湿邪の停滞」、ストレスで痛みが強くなる場合は「気の停滞」が、それぞれ要因になっていると考えます。中医学ではこうした体質を改善することで、体全体を整えながら痛みを和らげていきます。

高齢者に多い「腎の虚弱」タイプ

五臓の「腎」は骨の状態と深く関わる臓器。そのため、「腎」の働きが弱くなると骨にも影響し、腰痛や足腰のダルさといった症状が起こりやすくなります。また、「腎」は生命活動の源となる「精」を蓄える臓器でもあります。ところが、「精」は加齢と共に自然と減少し、「腎」の機能も衰えていくため、高齢になると腰の不調が現れやすくなるのです。

「腎」の衰えを防ぐことはできませんでしたが、積極的にケアすることで穏やかにすることはできるもの。冷えや疲労は「腎」にダメージになるので、季節を問わず体を冷えから守る、睡眠を十分に取るなどの習慣を心掛けましょう。また、「腎」の働きは「肝」とも密接に関わっているため、合わせて「肝」をケアすることも大切です。

このタイプの気になる症状として、腰がダルい・痛い、足腰に力が入らない、関節が動かしにくい、疲労で腰痛が悪化する、夜間頻尿、尿漏れ、疲労、冷え、食欲低下、めまい、耳鳴り、物忘れ、抜け毛、白髪、舌の色が悪い…など。

黒豆、黒ごま、松の実、クルミ、栗、クコの実、ナツメ、山芋、大豆製品、乳製品、キノコ類、小松菜、切り干し大根、エビ、卵など、黒、温性、甘味の食材で「腎」「肝」の血を養う食材を摂りましょう。

漢方では、独歩顆粒、八味地黄丸、参馬補腎丸、参茸補血丸、婦宝当帰膠、亀鹿仙など。

冬に起こりやすい「寒湿停滞」タイプ

寒さや冷たい雨・雪などの影響で、冬は体に「寒邪」「湿邪」が入り込みやすくなります。「寒邪」や「湿邪」は体内に停滞しやすいため、全身の経絡が詰まりがちに。その結果、気・血の巡りが悪くなり、「腰痛」が起こりやすくなります。また、「寒邪」は収縮させる性質があるため、「寒邪」の侵入によって腰の筋肉が収縮し、痛みを招くことがあります。

このタイプの養生は、体内に停滞した「寒邪」「湿邪」を取り除くことが基本です。体をしっかり温め、辛味の食材を積極的に摂って、体内の邪気を発散させましょう。放置すると痛みの悪化にも繋がるので、体の冷えを感じたら早めに対処することが大切です。

このタイプの気になる症状として、腰痛、腰の冷え、膝の痛み、下肢の神経痛、冷えると痛みが強く温めると緩和する、関節のこわばり、むくみ、舌苔が白い…など。

シナモン、ヨモギ、山椒、コショウ、ウド、ショウガ、ネギ、タマネギ、ニンニク、ハトムギなど、冷えを発散させ、湿を取り除く食材を取り入れてください。

漢方では、苓姜朮甘湯、防己黄耆湯、越婢加朮湯、薏苡仁湯、五積散、イーパオなど。

痛みが強い「瘀血」タイプ

中医学では、「腰痛」は「痺証」の1つと考えます。「痺」とは「塞がる、通じない」という意味で、「痺証」は体内の気・血の巡りが滞ることで起こる痛みの症状のこと。このため、血の巡りが悪い「瘀血」の状態も「痺証」要因となり、「腰痛」が現れるのです。このタイプの「腰痛」は長期化しやすく、「瘀血」が続くと痛みが悪化するケースも多いので要注意です。「腰痛」が慢性化している人、痛みが強い人などは、「瘀血」があると考えて積極的に対処しましょう。

養生の基本は、滞った血をスムーズに巡らせること。食生活の改善はもちろん、冬は寒さで血流が悪化しやすいので、服装の工夫や入浴などで体を温めることも心掛けてください。

このタイプの気になる症状として、腰痛の慢性化、腰・膝の痛みが強い、痛みの場所が固定している、夜間の痛みが強い、足の神経痛・しびれ、関節が動かしにくい、顔色が暗い、舌の色が暗く瘀点・瘀斑がある…など。

シナモン、ヨモギ、紅茶、らっきょう、タマネギ、サフラン、青魚、少量の酒など、辛味、温性の食材で血行を良くしましょう。

漢方薬では、冠元顆粒、田七人参、疎経活血湯、芍薬甘草湯、桂枝茯苓丸、水快宝など。

ストレス過多の「気の停滞」

過剰なストレスで「肝」がダメージを受けると、気の巡りが停滞しがちになります。気は血と一緒に体内を流れているため、気が滞ると血流も悪化するように。その結果、気・血の停滞で痛みが起こりやすくなり、「腰痛」の症状が現れます。

このタイプは、ストレスを感じると痛みが悪化しやすいことが特徴です。日頃からイライラしがちな人はストレスを小まめに発散するように意識して、気持ちを穏やかに保ちましょう。ハーブティーやアロマテラピーなど、香りの効果でリラックスするのもおススメです。

このタイプの気になる症状として、腰痛の長期化、ストレスで腰痛が悪化する、イライラ、怒りっぽい、疲れ目、肩こり、頭痛、月経前後の腰痛、月経不順、月経痛…など。

柑橘類、ミント、菊花、ジャスミン、カモミール、セロリ、トマト、梅、クコの実、ナツメなど、香りと酸味で気の巡りを整える食材を。

漢方では、逍遥顆粒、加味逍遙散、シベリア人参(エゾウコギ)など。

暮らしの養生

多くの場合は猫背、長時間の同じ姿勢、運動不足といった生活習慣が要因になります。なかなか一朝一夕で改善するものではありませんが、正しい姿勢、日々のストレッチなど、腰に負担のかからない生活を維持するように心掛けましょう。

また、冬の「寒邪」「湿邪」を寄せ付けない体質を目的に、基本的な体力アップを。冷えは「腰痛」の大敵なので、適度な暖房、入浴、運動などを心掛け、体を冷えから守りましょう。

ギックリ腰はまず安静第一。痛みが軽くなったら、積極的に動くことが大切です。