こんにちは。

冬の寒さは骨身にしみます。

肌を刺すような寒さが骨に達して、体の芯まで冷え切ってしまいそうです。

寒さによる影響は、①陽気を損なう、②気・血・津液(水)の流れを停滞させる、③収縮させます。

中医学では、「血」と一緒に体内を巡る「陽気」には、体を温めて体温を保つ役割があります。「陽気」が不足すると、手足だけではなく体全身が冷え、ときには関節や腰の痛みを感じることも。「陽気」を生み出しているのは、生殖機能や成長、発育、ホルモンの分泌などの働きを担っている「腎」なので、「腎」の機能が低下したり衰えたりすると、「陽気」の不足から体が冷え、腰痛や尿トラブル、むくみなどの症状があらわれることになるわけです。

寒さから身を守る肌のバリアも骨も、老化と関わりが深い「腎」の管轄です。歳を重ねるにつれて足腰が辛くなり、冬の寒さが身に応えるのは「腎」の衰えのサインと言えます。冷えは体を温め栄養成分を運ぶ「気」と「血」が不足したり、体を温めるエネルギーである「陽気」の根本となる「腎」の働きが低下した状態と考えます。

中医学では、「冬は蓄えの時期」と考えます。秋に収穫された穀物を蓄え、春の種まきに備えるのと同じで、人も1年の疲れを養生してエネルギーを蓄え、新たな春の始まりに備える…そんな時期です。「冬の養生」は、体を温めるものや精がつくものをとって体を補うことと、動物が冬眠するように、できるだけ消耗しないことが大切です。

寒さを我慢していると冷えが蓄積し、「腎」のエネルギーを過度に消耗してしまいます。保温は「腎」の応援団、特に「腎」に近い腰回りを温めましょう。

養生の基本は陽気を補い、体の内側から温めて冷えを取り除くことです。「腎」を養う食材を摂りましょう。黒豆、黒ゴマ、ワカメ、昆布など「黒い食材」や、イカ、タコ、ナマコ、カキ、長いも(とろろ)など「ヌメリのある食材」がオススメです。シナモン、ヨモギ、大豆、エビ、長いも(とろろ)、ニラ、羊肉、山椒、黒糖、紅茶など体を温め、陽気を養う食材も摂るといいです。

シナモンは肉桂または桂皮という名で知られている生薬で、食材としても良く利用されます。お腹を温め、蓄積した冷えを和らげてくれます。冷えが骨身に染みるような寒い日は、シナモンを。

夜間頻尿で有名な「八味地黄丸(金匱腎気丸)」。地黄、山茱萸、山薬(長いも)、沢瀉、茯苓、牡丹皮、桂皮(シナモン)、炮附子の8つの生薬からなるのですが、この中にもシナモンが入っています。「八味地黄丸(金匱腎気丸)」は「腎」の「陽気」を補う処方です。

「腎」は老化と関係する臓器ですが、ボクは老化のスピードを緩やかにするものが「八味地黄丸(金匱腎気丸)」などの「補腎薬」です。つまり「補腎薬」は1回、2回で効果を期待するものではなく、ジックリと続けて服用することが必要です。

若い方でも、今から老化防止…ということで、「補腎薬」をコツコツ貯金するように服用するのも、10年、20年先の投資として服用することもいいかもしれません。