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中医学では「免疫」という言い方はありませんが、ウイルスや細菌などの侵入者から体を守る力のことを「衛気」と呼んでおり、「衛気」は「皮膚や粘膜細胞を含む体表のバリア力」と考えられています。

体を害する外的要因は、ウイルス、細菌、花粉、塵、化学物質、高低温、多湿、乾燥など様々ですが、「衛気」が十分あれば、これらの刺激や侵入を予防することができます。つまり、「衛気」はボクたちの体を病気から守ってくれる「第一次防衛ライン」とも言える大切なものなのです。

「衛気」は皮膚の表面に流れることにより、汗腺の開閉による温度調節などによって、体表をしっかりガードしていますが、「衛気」が不足すると、汗をかきやすくなるほか、寒冷刺激に対する防御力が落ちるため、カゼを引きやすくなります。温度変化にも順応しにくく、ちょっとした気候の変化で、くしゃみ・鼻水などのアレルギー症状も現れます。

2月~3月にかけてスギ花粉の飛散がピークを迎えます。花粉症はIgEを介したⅠ型アレルギー反応ですが、この原因として「衛気」が不足している人が多いです。

中医学の治療原則に「本治」と「標治」という考えがあります。「本」とは疾病の本質および病因を指し、「標」は主に症状を指します。つまり「本治」とは、疾病の根本原因である体質を改善すること、「標治」は一時的に症状を抑えることです。

ここでの「本治」とは、「衛気」を補い、「第一防衛ライン」を立て直すこと。「益気固表」という効能効果を持っている「衛益顆粒(玉屏風散)」が代表的な漢方薬です。皮膚や粘膜の防衛能力を強化する「黄耆」に加え、胃腸の働きを良くする「白朮」と抗アレルギー作用のある「防風」で、より強固な守りになります。

なお、日常生活の中では花粉による食物アレルギー症候群という口腔アレルギー症候群(OAS:oral allergy syndrome)もあります。それらの方は野菜や果物を生で食べたときに唇、口、のどなどにイガイガ感や痒み・腫れなど、更に息苦しくなるなどのアレルギー症状が現れます。対策として「衛益顆粒(玉屏風散)」を服用するほか、食生活でまずは生ものを加熱してから摂取するようにすると、症状が出なくなるということで、生ものを食べないことがおススメです。ヒスタミンは高脂肪の食事で生成されるので、油脂の多い肉や揚げ物、マーガリン、マヨネーズなどの食品やアルコールを避けましょう。