こんにちは。

皮膚に赤身や湿疹などの症状はみられないのに、痒みだけが起きる皮膚の病気を「皮膚掻痒症」と言います。皮膚が乾燥しやすい秋冬シーズンに起こりやすく、特に皮膚の水分や皮脂の分泌が少なくなる高齢者で多くみられる「老人性皮膚掻痒症」。その他、病気が原因で痒みを生じる場合もあります。

健康な肌は、角質層の角質幹細胞(セラミドなど)と天然保湿因子(NMF)が水分を保ち、皮脂膜が水分の蒸発を防ぎ、様々な刺激から皮膚を守っています。

しかし乾燥によって角質層の脂質や水分が失われて細胞間に隙間ができて粗くなると、外からの刺激を受けやすくなります。更に皮膚が乾燥してくると、本来なら肌の深部にある「痒みを感じる神経終末」が角質層近くまで伸びてきて、皮膚への軽い刺激でも痒みを感じるようになります。

高齢者の場合、肌の新陳代謝が低下するため、角質細胞間脂質や皮脂膜などが減少して皮膚が乾燥しやすくなります。高齢者に痒みが生じやすいのはそのためです。

乾燥肌の痒みを我慢できずに掻いてしまうと、皮脂膜や角質層が剥がれてバリア機能が低下して、外部からの刺激を受けやすくなり、更に敏感に反応することになり、痒みの症状はますます酷くなっていきます。

対策・予防としては①入浴による皮膚の乾燥に注意する②暖房は控えめにして加湿する③衣類にも注意④スキンケアを小まめに。

今からは大気の乾燥により、健康な人でも皮膚から奪われる水分量が増える季節。加えて、気温が低く新陳代謝も低下するため、皮脂の分泌量も減少します。そのため、皮膚の保湿機能が低下し、乾皮症・皮脂欠乏性湿疹、アトピー性皮膚炎の悪化、ひび割れ、しもやけ・あかぎれ、フケの増加などが起きやすくなります。中医学における皮膚病対策の3本柱は内服、外用、養生です。漢方薬で内側から潤いをつけていくことで早い改善がに繋がります。