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五行の間には、互いに依存する「相生関係」と、互いに抑える「相克関係」という2つの関係によりバランスが保たれています。相生は「アクセル」、相克は「ブレーキ」といったようなものでしょうか。

相生関係は「母子関係」とも言われていて、中医学には「虚証ならその親を補う」「実証ならその子を瀉す」という原則があります。

例えばアトピー性皮膚炎の子どもには、普段から「食欲がなく」「大便がゆるい」など、弱っている症状がみられる場合があります。どこが弱っているかというと、消化吸収を受け持つ「脾」が弱っているのです。

中医学では、「脾」は「土」に属し、皮膚(肺)は「金」に属します。五行の関係では、「金」は「土の子」なので、これは「母子関係」になります。

中医学では、虚証を治療するときには「母を強める」という考えがあります。この場合、「母を強める」とは「脾を強める」ことになります。「脾を強める」とは、きちんと食べたものを消化できるということです。

「脾」が元気になれば、食欲も出て、ものが美味しく食べられるようになります。大便も、ちゃんと形のあるものが出るようになるはずです。こうして消化・吸収がきちんとしていれば、体の中に余計な湿気が溜まらなくなると中医学では考えます。

なぜ皮膚「肺」だけでなく「脾」を治療するかというと、この湿気が「皮膚炎のもと」になっていると考えるからです。なので、皮膚炎の治療であっても、皮膚「肺」だけでなく、「脾」も重視する必要があります。