こんにちは。

Web勉強会が午前と午後でありました。

午前は中医学の勉強で「脾と免疫」について。午後は免疫の勉強で「腸内フローラと疾患」について。

中医学と現代医学、違う角度での話でしたが、同じことを言っています。

中医学でいう「脾」とは消化器系を指します。

「脾」の主な働きは、飲食物の消化・吸収作用(運化)、栄養を体全体に送る作用(昇清)、血液が血管から漏れるのを防ぐ作用(統血)があります。なので、食欲不振、栄養失調、下痢、内臓下垂、慢性出血などの症状が現れる場合には「脾」から治療することが多いです。

また、飲食物から生命力をつける役目の「脾」は「後天の本」と呼ばれ、ボクたちの体の健康維持に最も重要な役割を果たしていると言えます。生命力を維持するエネルギーを作り出しているわけです。

そのため、中医学には「四季脾旺不受邪」(四季を通して脾胃の働きが強ければ、邪気を受け付けない)、「正気存内、邪不可干」(健全な免疫力があれば、病邪が人体を侵すことができない)という考え方があります。

免疫というと「自然免疫」と「獲得免疫」。

「自然免疫」は、好中球とマクロファージの食細胞が細菌やウイルスを食べて処理をします。「自然免疫」は、細胞やウイルスが体に入ってからの数日間…異物の排除に当たります。処理能力はそれほど強くはなく、感染がさらに進んだ場合、強力な「獲得免疫」が成立して体を守ります。

「獲得免疫」は一度侵入した異物に対しては素早い対応ができますが、全く新しい異物の場合、活動するまで7~10日かかります。「獲得免疫」は、細菌やウイルスに対しては抗体とキラーT細胞とで防衛します。

免疫細胞の出会いの場は「リンパ節」であり、「リンパ節」は様々な老廃物やウイルスなどを処理する、体の粗大ゴミリサイクル工場です。

その「リンパ節」と同じような働きをする場所が小腸にある「パイエル板」。約70%の免疫は腸にあると言われています。「パイエル板」は腸の中でも多くの免疫機能を担っている場所で、小腸の下の方にある器官です。

70%の免疫が「腸管免疫」。毎日、食べたり飲んだりしたものを大量に処理しなければならないわけですから、当たり前といえば当たり前かもしれません。

腸管には①生物学的バリア(常在細菌叢)、②分泌物による科学的バリア(粘液層)、③物理的バリア(上皮細胞)、④免疫学的バリア(組織)のバリア機構があり、いいものは取り入れ、悪いものは排除しています。バリアは4層構造となっており、その第1層が腸内細菌叢(腸内フローラ)であるわけです。

理想的な腸内細菌叢(腸内フローラ)は「良好なバランス×多様性」。ダメージを受けた細菌があってもそれをサポートできる、多種多様な細菌が共生している状態です。善玉菌:日和見菌:悪玉菌が2:7:1が理想ですが、年齢とともに腸内細菌叢(腸内フローラ)が変化。善玉菌が減少し、悪玉菌が増加していきます。これは、年齢とともに免疫力が低下し、感染リスクが上昇する変化に似ています。これはストレスでも同じことが言えます。

今回、腸内細菌叢(腸内フローラ)のバランスの乱れにより、Ⅰ型糖尿病を発症する、関節リウマチが悪化する、アレルギーが酷くなる…というところの話もありました。

中医学と免疫の話。古典と現代くらい違いましたが、言い方が違うだけで同じことを言っているのだと感じました。中医学と現代医学と2つのアプローチで同じ日に聴けて、とても有意義でした。

改めて、腸内環境のバランスの大切さ、そしてそれを左右する食事の影響が理解できました。ありがとうございました。