こんにちは。

このところ、何となく体がだるい、すぐに疲れてしまう。腰痛や肩こりに悩んでいる。時々めまいがする。体が冷える。よく眠れない…。こんな症状はないでしょうか?

病院で診てもらっても、どこにも病気は見つからないのに、本人は体調が悪く、辛くてしょうがない…。

これは、病気の一歩手前にある不健康な状態。漢方的な捉え方では「未病」です。

「未病」という考え方は、中国の古典の医学書である「黄帝内経」に由来する漢方的な考え方です。

超高齢化社会になり、年々膨れ上がる医療費の問題、生活習慣病が増えている現代において、病気を防ぐためにとても重要となっています。

漢方では4000年以上も前から「未病」の対策が考えられてきました。

現代のように検査機器などない時代、五感をつかった「四診」という望、聞、問、切の4つの手段を用いて、患者さん自体から、できるだけ偏りのない情報を集めていました。(四診合参)

「望診」は、視覚によって集める情報を収集。

「聞診」では声の調子や話し方、息の仕方、息や体の匂いなどから情報を収集。

「問診」は、現在の症状や病歴、家族歴、生活習慣などを聞くことで情報を収集。

「切診」は、患者さんの体に直接触れて情報を収集。

西洋医学では病気と判断できない状態の不調や不具合でも、漢方は様々なことから手掛かりを探りだすことができるわけです。

特に「望診」の中の「舌診」は、舌の状態を診ることで、体の状態や変化を知る方法で、体のバロメーターとして判断するため重要視されている診察方法です。

通常、健康なときの舌は、ピンク色をしていて、その表面はうっすらと白い苔がついていて、適度に湿っています。

これが赤っぽかったり、紫色や黒ずんでいたり、あるいはネバネバした黄色い苔が付いていたら、体のトラブルを知らせるためにシグナルを発していると判断します。

  • 舌が紫色をしている⇒血が滞っている
  • 舌が紅色をしている⇒熱がこもっている
  • 舌の色が悪い(淡い)⇒血が不足している
  • 両脇に歯のあとがついて凹凸している⇒胃腸の機能低下による水の滞り
  • 舌の苔が厚く粘っこい⇒余分な水分が溜まり消化が悪い
  • 舌の苔が厚く乾燥している⇒老廃物が溜まり、水分が不足している
  • 舌の苔がなく照りがある⇒血と水が大きく不足している

…といった具合です。こうした舌の変化は誰でもある程度分かるので、健康状態をチェックするには、最も簡単な方法の1つと言えます。

例えば、いつもより舌の苔が厚くなっているように見えたら、食べ過ぎで消化不良を起こしているか、水分代謝が悪くなっている証拠です。そういった場合、体が重く感じられたり、浮腫みが現れているかもしれません。

舌の状態を診るだけで、病気とは言えないまでも、病気に発展するかもしれない一歩手前の不調を知ることができ、治すことができる…。これが、病気になる前にその原因を取り除くことである「未病先防」、心と体は一つのものと考える「心身一如」の考え方を重視する、漢方の強みだと思います。