こんにちは。
夏は暑さのために食欲が低下する人が多く見られます。
中医学では消化器系のことを「脾」と言い、「脾」は全身に栄養を送っていて、「元気の源」と呼ばれています。
胃が何かの原因で弱ると、「脾」もその影響を受けて色々な障害が生じます。
一般には「脾胃」と言って、西洋医学の「胃腸」に相当すると考えられていますが、「脾胃」と「胃腸」ではだいぶ意味が異なります。
「脾」とは、広義では消化機能を意味し、食物を消化・吸収してその栄養物を各組織に供給します。中医学ではこの作用を「運化」と言いますが、同時に吸収した水分の体内への供給と排泄を促進しています。
高齢者の方で、のどに痰が絡み、息苦しさを訴える方がいますが、これは「脾」の働きが低下して、吸収された水分が痰となり気管やのどに溜まるためで、水分の排泄が上手く行われていないためと考えます。
慢性的に痰が出る場合、肺だけでなく、胃腸の不調を疑ってみてください。痰をつくるのは「脾」で、「肺」は痰が溜まる場所。そんな人は、生冷飲食(生もの、冷たい飲食)、肥甘厚味(肥っこいもの、甘いもの、味の濃いもの)のものは控えめに。胃腸に負担をかけ、水分が停滞し、痰の原因になるからです。
また、「脾」の働きが弱ると筋肉はやせ衰えて、手足はだるく、力が入らないようになります。内臓下垂も起こり、胃下垂などの症状が現れます。
ボクたちが生きていくためには、絶えずエネルギーを補充していないといけません。「脾」には食物のもつエネルギーを体内に取り入れる重要な働きがあるので、「脾は後天の本」と言い、生命維持の過程に重要な意味をもち、中医学では特に重要視しています。