こんにちは。

免疫の過剰反応のことを「アレルギー」と呼び、遺伝的にこのような反応を起こしやすい体質のことを「アレルギー体質」と言います。

「アトピー」という言葉は、ラテン語で「奇妙な」「とらえどころのない」などの意味ですが、「アトピー性皮膚炎」とは「アトピー体質」という遺伝性のアレルギー素因をもっている皮膚に発生する皮膚炎🔥のことです。

日本における乳幼児から青年に占める各アトピー性皮膚炎患者の比率を見てみると、乳幼児では全体の15~20%、学童では6~10%、青年では2~4%にアトピー性皮膚炎が認められる…と言われます。

アトピー性皮膚炎は近年増加傾向にありますが、これも環境素因の影響が大きいと考えられます。

アトピー性皮膚炎の特徴は、①痒みがあること②アトピー性皮膚炎を引き起こす遺伝的な体質がある人に幼少時に発症し、成長するに従って各年齢層に特徴的な症状を示しながら段々と良くなっていく③慢性・反復性の経過をたどる…。

症状としては、体の広範囲、左右対称に発疹が出る、慢性に繰り返すこと、痒みがあることが特徴です。

3歳くらいまでの乳幼児期には、顔や頭にジクジクとした発疹が出ます。

小児期には、顔の発疹は少なくなりますが、出る部位が全身に広がり、特に肘や膝の内側など、皮膚がこすれたり、汗をかきやすい部位に発疹が出ます。

思春期以降の成人では、皮膚の乾燥が増し発疹の出る範囲が全身に広がります。炎症を繰り返す部位は皮膚が厚くなったり、色素が沈着して黒ずんだりする場合も…。

アトピー性皮膚炎の症状には季節的変動がありますが、アトピー体質の皮膚は、バリア機能の異常をきたしているため、乾燥しやすい状態になっているからです。

当然、湿度が低下する冬場には、皮膚が乾燥して症状が悪化します。夏場は汗をかいたままにしておくと、皮膚に付いた汚れと一緒に皮膚を刺激して、しばしば症状を悪化させます。最近ではその原因が、人間の皮膚に存在するカビが作り出すタンパク質だと言われています。カビ以外にも細菌が繁殖しやすい時期なので、夏場はとびひなどの皮膚感染症を合併しやすくなります。春・秋は比較的症状が安定する傾向にあります。

生まれながらに過敏な皮膚がハウスダストやダニ、花粉、牛乳やタマゴなどの食物に過剰に反応して起きるとされているアトピー性皮膚炎。従来、アトピー性皮膚炎は乳幼児→幼児期→思春期と成長するにつれて症状が軽くなる…と言われてきました。これは、成長するとともに皮膚や粘膜が強くなって、刺激に対して抵抗力を持つようになるからです。

しかし最近は、成人後もアトピーの症状が続く人が増えています。原因としては、学校や会社でのストレスや食生活の欧米化、大気汚染などが関与していると言われていますし、過労やストレス、睡眠不足は、アトピー性皮膚炎に限らず皮膚病全体で症状を悪化させる傾向にあります。

つまり、アトピー性皮膚炎は色々なことが絡み合って起こっているわけです。

そのため中医皮膚病では、内服だけでなく、外用治療と弁証スキンケアおよび養生など、全面的なアプローチをしていくことが効果的だと考えます。