こんにちは。
中医皮膚病IP講座の「山茶花」グループミーティングの「蕁麻疹名医論談」、中医師の楊達(ようたつ)先生によるお話です。
蕁麻疹とは「出没を繰り返す一過性の痒疹を伴う紅斑、膨疹」で、「数分~数時間持続」し跡形なく消失します。この状態が1ヶ月以上繰り返し起こるものを、慢性蕁麻疹と言います。
「出たり消えたり」「激しい痒み」が特徴ですが、粘膜に発生すると命に関わることもあります。
今回、皮膚病において中国で名医と言われる中医師の考えを紹介してくださいました。
まず蕁麻疹で難しい点は「精神の関与とアレルゲンの排除」「慢性蕁麻疹の再発を防ぐ方法」。
今回、「慢性蕁麻疹」に対する名医の考え方でしたが、共通するものとして「虚実を分けて考える:祛風は必要」「慢性蕁麻疹における虫類の使用」「リラックスと睡眠は重要」「感染、薬物、精神刺激、喫煙、飲酒、過労…など、誘発素因を避ける」というものです。
それぞれの先生の考えは、
趙炳南先生(北京)…風熱型、風寒型、食滞風邪型、血虚風邪型の四型に分ける。寒熱虚実を弁別し、祛風を重視する。飲食不節(誘発させる食材を多く食べた)。
朱任康先生(北京)…内外の原因によって発生、風熱型、風寒型の急性と脾胃型、血熱型、血瘀型に分ける。急性は風熱、湿熱が多く、慢性は内因性の要素が多い。
劉復興先生(雲南)…初発は実証、持病なら虚証。湿熱、血熱、風盛、血瘀から治療する。急性期は清熱利湿、涼血活血で処方は荊芩湯(けいごんとう)、龍胆湯(りゅうたんとう)を使用。慢性期は養血祛風、固表調血で処方は当帰飲子加減を使用。
周鳴岐先生(大連)…内風・外風も正気を損なう。表治・裏治も風を治す。
渓鳳霖先生(蘇州)…実証と虚証に分ける。繰り返しの発作は「肝」から治療する。ストレスで発症する蕁麻疹…日本の現状に近い。
顧丕栄先生…慢性蕁麻疹は外風、内風の区別がある。内風は「肝経」を重視。祛風、消風、息風、御風の方法を用いる。
張作舟先生…表を固めて「風邪」を入れないようにガード。
周百川先生(重慶)…慢性蕁麻疹は「血」から治療。益気養血熄風は終始する。
これらをまとめると、慢性蕁麻疹は「風」と「血」から考える必要がある…と楊先生はおっしゃいました。飲食不節の影響が大きい。慢性蕁麻疹の多くは「虚証」で、内臓では「肝」と「脾」に関連が深い。臨床上に血分薬の活用が目立ち、通絡薬、虫類薬の活用も多いです。
今回、有名な老中医の考え方を勉強させていただきました。楊先生、ありがとうございました。