こんにちは。
アトピー性皮膚炎の人の皮膚は正常な人の皮膚に比べ、「皮脂膜を作る力が足りない」ことと、「皮膚内の水分保持能力が低い」ことでアレルゲンや微生物が容易に侵入し、さらには「過敏な体質」と併せてアレルギー反応を起こします。
乳幼児では、皮膚に付いた「よだれ」や「食べ物」による刺激、食べ物に対するアレルギーなどが主な要因となります。そのほかにも、汗や衣服との摩擦などによる刺激、「ダニ」や「ホコリ」などに対するアレルギーが関係することがあります。成長すると、睡眠不足や疲れ、ストレスなども、アトピー性皮膚炎を悪化させる要因にもなります。
アトピー性皮膚炎は良くなったり悪くなったりを繰り返します。症状がないか、あっても軽くて日常生活に支障がない…ステロイド外用剤を使用している場合は必要としない状態を維持することが目標です。
よく「ステロイド外用剤を塗っても効かない…」とおっしゃっる方の皮膚を見せていただくと、大体が肥厚してボロボロでガサガサ…。バリア機能がしっかりしていない状態で、アレルゲンや微生物の侵入を常に受けているため、常に炎症を起こしている状態です。そのため、痒くなるから掻く…これによりバリア機能は低下します。
皮膚病改善のための三本柱は、「内服治療」「外用治療と弁証スキンケア」「養生」です。
急性期の炎症性の皮膚疾患の場合、紅斑(赤い)+滲出・びらん(ジュクジュク)+丘疹(ブツブツ)の症状が多く見られます。中医学でみると「湿熱(しつねつ)」「血熱(けつねつ)」「熱毒(ねつどく)」の場合が多く、清熱利湿(せいねつりしつ)、涼血解毒(りょうけつげどく)の漢方薬で対応します。
慢性期の皮膚疾患の場合、結節(ゴリゴリ)+鱗屑(カサカサ)+苔癬化(ゴワゴワ)の症状が多く見られます。中医学でみると「血熱風燥(けつねつふうそう)」「内虚(ないきょ)」の場合が多く、養血祛風(ようけつきょふう)、潤燥止痒(じゅんそうしよう)、健脾補腎(けんぴほじん)で対応します。
本治(根本治療)は、漢方薬などで体の潤い不足を改善する「内服治療」による美肌作り、再発防止だと思いますが、スキンケアにより皮膚のバリア機能を高めてあげることで、効果がより高まります。スキンケアは「仮の柱」にはなりますが、直接皮膚を守ることから、効果を早く感じることができるようです。そのため皮膚が乾燥しやすい冬は、しっかりと保湿することが大切です。
寒い日は熱いお風呂が気持ちがいいですが、38~40℃のぬるめのお湯で、長湯をしないこと。角質層から皮脂などが溶け出しやすくなるからと、体が温まることで痒みが増すからです。そして、入浴時の洗い過ぎやナイロンタオルによるこすり過ぎにも注意が必要です。
「皮膚の状態=腸粘膜の状態」と考えると異物が侵入しやすい状態…と言われています。お酒、肉食、揚げ物…、お酒は粘膜を痛めますし、肉食は腐敗、油は酸化脂質などで腸内バランスを悪くします。腸管粘膜バリア機能破綻→アレルゲンになる食材→血液免疫異常→皮膚炎の発生…ということを考えると、食養生も大切なポイントです。