こんにちは。
先日、山口中医薬研究会でロコモのお話を聴きました。ロコモとは、ロコモティブシンドローム(locomotive syndrome)…「運動器の障害」のことです。
足の筋肉量は20歳代から加齢に伴い大きく減少する…と言われています。筋肉量が減少すると、筋肉が疲れやすくなったり、ちょっとしたことで痛みが発生したり、足腰に力が入らない、階段の上り下りが辛い…など「運動機能不全」、歩きにくくなることで転倒や骨折など「運動器自体の疾患」につながってしまうことになりかねません。
陶先生のお話では、中医学からロコモを見ると「腎虚」「脾虚」「瘀血」「気鬱」と言われました。そのキーワードは「骨」「肉」「筋」「血」の4つに当てはまります。
骨(骨が弱い)
・足腰がダルい
・骨粗鬆症が心配
・足腰が冷えやすい
「腎」を補い骨を強くし、カルシウムなどの栄養素をしっかり吸収、代謝できる体を作る
肉(筋肉が弱い)
・よくつまずく
・手足に力が入らない
「脾」を補い筋肉を丈夫にし、筋肉の損傷を防ぐと同時に胃腸を元気にし体に必要なエネルギーを補う
筋(筋に栄養が足りない)
・手足がしびれる
・足がつる
・関節がガクガクする
「肝血」を補い年齢とともに硬くなりがちな筋をやわらかくし、筋の損傷・炎症を防ぐ
血(血行不良)
・血管が浮き出ていたり、皮膚の色がくすんでいる
・いつも同じところが痛い
「血液」の流れを良くし、瘀血(おけつ:血行不良)による痛みを防ぐ
「気鬱」は心因性が原因による痛み…。西洋医学でも痛みに抗うつ剤が処方されるケースがありますが、心因性による痛みは強いストレスや慢性的ストレスの蓄積により、自律神経や内分泌系、免疫系に不調をきたすことから生じると考えられています。
中医学で考えた場合でも、「気鬱」により気血の巡りが悪くなることで「瘀血」をつくり、更には「腎」「脾」「肝血」にも影響を及ぼしていると言えると思います。
体力の低下や加齢のために関節が弱くなると、体重を支えきれなくなり痛みが現れます。このようなときは筋骨や筋肉に栄養を与えて強くする必要があります。それには運動、そしてバランスのとれた食事が大切です。
また弱りのサインとして、痛みよりも「ダルさ」を感じることがよくあるようですが、この段階で漢方薬を飲んでしっかり養生をすることで、症状の悪化を防ぐことも可能であると考えます。