こんにちは。
「小郡ふれあいセンター」にて山口中医薬研究会の勉強会がありました。
今回の講師は中医師の陶惠寧(とうけいねい)先生でテーマは「ロコモの中医学対応」です。
最近よく聞く「健康寿命」。
この「健康寿命」とは、介護を受けたり病気で寝たきりになったりせず、自立して健康に生活ができる期間のことで、生まれてから死ぬまでの期間を示し、介護や寝たきりの期間を含む「平均寿命」とは違います。
厚生労働省の算定した「健康寿命」によると、男性70.42歳(平均寿命79.55歳)、女性73.62歳(同86.30歳)でした。男性で9年、女性で13年の差があります。
要介護に至る疾患では、認知症が1位…。脳血管疾患、高齢による衰弱、関節疾患、骨折・転倒…と続くそうです。
つまり、3位の高齢による衰弱、4位の関節疾患、5位の骨折・転倒と、運動機能症候群…つまりロコモによるものであることが分かります。
ロコモ…とは、ロコモティブシンドローム(locomotive syndrome)のことで、運動器の障害を指す言葉ですが、運動器の障害予備軍を含め、推計患者数(40歳以上)は4700万人(男性2100万人、女性2600万人)と言われています。そのため、ロコモは国民病とも言われます。
ロコモの原因として、
①運動器自体の疾患…関節が動かない、筋力低下、麻痺、骨折など
②運動機能不全…身体機能の衰え、筋力低下、持久力低下、運動速度低下、バランス能力低下など
特に衰えやすい筋肉はの部位は、立ち上がりや歩行、転倒回避などに関わる「大腿四頭筋」、上半身を支え、立ち上がり、歩行に関わる「大殿筋」、つま先・かかとを上げるなどの歩行、つまずき防止に関わる「下腿三頭筋」だそうですが、筋肉の減少傾向が加速することが骨折・転倒につながるわけです。
筋肉量、神経活動の低下による「サルコペニア」、関節軟骨、椎間板の減少による「変形性膝関節症」「変形性腰痛症」、骨量低下による「骨粗鬆症」などから、歩行障害(運動器不安定症)へ進行し、歩けない、立ち上がれない…となり要支援、要介護になるケースが多いようです。
まず、陶先生は運動が大事だ…とおっしゃいます。運動…といっても激しいものではなく、「開眼片脚立ち」「スクワット」「関節の曲げ伸ばし」「ウォーキング」などを無理しない程度に…。その際はイスなど支えがある所で行うように…とのことでした。
そして食事…野菜だけでなく肉や魚も適度に摂ることが大切とも…。
そして、中医学からロコモを見ると、「腎虚」「脾虚」「瘀血」「気鬱」が考えられると言います。
実際に「変形性膝関節症」が改善した症例も交え、中医学の対応を示してくださいました。
陶先生、ありがとうございました。