こんにちは。

ステロイドとは、副腎皮質という内分泌器官から分泌されるホルモンと同じ化学構造をもった合成物で、「副腎皮質ホルモン」とも呼ばれています。

もともと、体から作られる「副腎皮質ホルモン」は、ボクたちの生命の維持に大切な役割を果たしています。

「副腎皮質ホルモン」は糖質を体内に貯め、血糖値を上げる「糖質コルチコイド」、Naの再吸収を促進する「電解質コルチコイド」、女性における男性ホルモン分泌を促進する「アンドロゲン」の3つに分類されます。

このうち、「副腎皮質ホルモン」「ステロイド剤」などと呼ばれているのは「糖質コルチコイド」のことで、この「糖質コルチコイド」を大量摂取すると、炎症を抑えるはたらき(抗炎症作用)を示すことから、ステロイド剤は全身に炎症が起こる病気(関節リウマチ、気管支喘息など)や皮膚炎などの治療薬、免疫抑制剤として広く使われています。

人の体では、「副腎皮質ホルモン」が常に分泌されています。そこに、同じはたらきをもったステロイド剤の投入は、体内のホルモンバランスを崩してしまいます。

生体内で分泌される「副腎皮質ホルモン」は、炎症反応を抑えるはたらきのほか、脳下垂体に対して「副腎皮質刺激ホルモン(ACTH)」の分泌を低下させるなどのはたらきもあります。そして、ステロイド剤にも同様のはたらきがあります。

そのため、ステロイド剤を使用すると、「副腎皮質刺激ホルモン」が減少するんです。もともと「副腎皮質刺激ホルモン」は「副腎皮質にホルモン」を作るように指令をする物質。この分泌が低下することは、「副腎皮質ホルモン」の分泌の低下につながります。その結果、副腎皮質の機能が低下します…。

本来、必要に応じて「副腎皮質ホルモン」を作ることになっているのですが、その必要なときに外部からステロイド剤によって供給されるのですから、機能が低下してしまうのです。

そして、機能低下に伴って減少した「副腎皮質ホルモン」を補うために、更にステロイド剤を使う…この悪循環により、ホルモンのバランスが崩れ、さまざまな障害が体に現れます。

これが、ステロイド剤連用の副作用だと言われています。

ただ、ステロイド剤を長期使用されている場合、急にやめると「リバウンド」が起こることがあります。

ステロイド剤をやめても、すぐにはホルモンの分泌がうまくいかないからです。急激なホルモン低下状態になってしまい、それまで抑えられてきた炎症や免疫反応が、一気に噴き出してしまいます。

こうしたことから、ステロイド剤は怖いというイメージがあります。

ただ、ステロイド剤はシャープに効きますし、必要なとき、必要な期間の使用で、大きな治療効果が得られているのも事実です。

だから、知っていて使う分には、必要以上に心配し過ぎたり、怖がることはないと思います。ただ、知らずにステロイド剤を長期で使い続けることは、リスクを伴うことがあるわけです。