こんにちは。
中医学では、病気が起こる原因を2つの方向から考えます。
1つは体内の「正気(せいき)」が足りない状態。もう1つは病気をもたらす「邪気(じゃき)」の影響です。
「正気」は体が病気に対抗する免疫力のような存在で、「邪気」は体に悪い影響をもたらすもの…。
病気を予防・改善するためには、日頃から「正気」をしっかり養い、「邪気」に侵されてしまったら早めに取り除く…ことが大切です。
中医学では、「正気」を養うことを「扶正(ふせい)」、「邪気」を取り除くことを「祛邪(きょじゃ)」と言います。
「正気」の中でも、病気からボクたちの体を守るはたらきのある気を「衛気(えき)」と言います。「衛気」は、血管外をくまなく流れ、体表(皮膚・粘膜)の部分を巡回しながら守っているます。いわば、人体の第一次防衛ラインに相当するものです…。
多くの「邪気」は皮膚や粘膜から侵入します。
敵が上陸してから戦いを始めるのと、水際で侵入を食い止めるのとでは、それに費やすエネルギーや犠牲の大きさには雲泥の差があります…。
そのため、ボクたちは人体の第一次防衛ラインに相当する「衛気」のはたらきを強化して、外敵=病原菌などの侵入を防ぐことが大切です。
もし「衛気」の不足により、この人体の第一防衛ラインを突破されると、アトピー性皮膚炎、花粉症、ぜんそくなどのアレルギー疾患を引き起こしたり、カゼ・インフルエンザにかかりやすくもなります…。
「前に比べてとても寒がりになてきた」「厚着をしていないのに、汗をかくようになった」「体温がもともと低い方」「冷房が苦手で、冷え症気味」「年中カゼを引く」「のどが弱くて炎症を起こしやすい」「鼻が年中グズグズしている」などの症状はありませんか?
もしかしたら「衛気」の不足、「衛気虚(えききょ)」を示す症状かもしれません…。
それには「衛気」の養うことが必要で、病気の発症を未然に防ぐことを心がけていたいものです。
「衛気」を強くする生薬に「黄耆(おうぎ)」があります。免疫機能を調節し、皮膚や粘膜バリアを活性化するはたらきがあります。
「黄耆」を主薬とした漢方薬は「玉屏風散(ぎょくへいふうさん)」が有名で、日本では「衛益顆粒(えいきかりゅう)」として知られています。