こんにちは。
先日、東京から中医師の劉伶(りゅうれい)先生を迎えて、山口中医薬研究会の勉強会がありました。
今回のテーマは、「亀」と「鹿」です。
「亀」は長寿・吉祥のシンボルですが、この「亀」の甲羅が漢方薬になります。
「亀板(きばん)」はクサガメの甲羅、「鼈甲(べっこう)」はスッポンの甲羅と、「亀」の種類によって呼び方と薬効が違いますが、「得天下陰気最厚…」とあるように、「滋陰(じいん:体を潤す作用)」に優れています。
中医学では、ボクたちの体は「陰」と「陽」のバランスで健康を保っていると考えます。たとえば「陽」を風船に、「陰」をそれを掴んでいる手だと考えると、風船が上がる力に対し同等の手の力が必要です。手の下に引っ張る力が弱いと相対的に「陽」が上がり、「虚陽上越」の状態に…。のぼせやほてり、不眠、めまい、高血圧などの症状が出やすくなります。
中医学では、「滋陰」により下に引っ張る力を助けることで、上がった風船を下に降ろすことができる…という風に考えます。これは「滋陰潜陽」という方法で、「陰を補うことで、陽をしずませる」という治療法です。
「亀板」に「鹿角(シカの角)」「人参」「枸杞子」を加えると、「亀鹿二仙膏」という処方になります。
「亀板」「鼈甲」と「鹿角」の組み合わせは相性が良く、「益腎益精(えきじんえきせい)」「滋陰潜陽(じいんせんよう)」「軟堅散結(なんけんさんけつ)」「美肌」の効果が高まることが分かっています。
中医学では「腎」のはたらきを、水分の排泄だけでなく、貯蓄、分布も含めた水分代謝のコントロールを行うと考えています。また、体の発育・生殖・老化に深く関わる「精」を蓄える臓器とも考え、「腎」が弱ると精力減退、不感症、不妊症、頻尿、足腰の衰え、骨粗鬆症、健忘…などの症状が出やすくなります。
「益腎益精」はその「腎」を補うことで、アンチエイジング作用とも言えるかもしれません…。しかも動物生薬は、特に「補腎」の力が強力です。
そういった作用から、「亀板」「鼈甲」「鹿角」は「妊活応援」の漢方薬として、今注目されています。