こんにちは。

湿疹・皮膚炎は皮膚の炎症ですが、炎症によって痒みが生じます。

痒みは我慢できないので、ついつい掻いてしまい、掻き壊すことで炎症が悪化・拡大し、更なる痒み・発疹を生じる…という悪循環を起こします。

この「悪循環」は炎症の悪化のサイクルで、湿疹・皮膚炎が治癒する前に、新たな湿疹・皮膚炎が生じ、それが積み重なることで慢性化につながる…ということです。

従って、まずは炎症を抑え、この悪化のサイクルを断ち切ることからはじめていくことが治療の基本となります。

中医学では、皮膚の症状を段階的に考えて対応していきます。急性期、再発を繰り返し全身に広がる混在期、皮膚が硬化する慢性期に分けられます。

基本的には体内にこもった「熱」を取りながら、肌のバリア機能を修復し、炎症を取り皮膚を潤すことで痒みを抑えていきます。急性期には「熱を取ること」が中心、慢性期は「潤す」ことが中心となります。

掻けば、当然皮膚にダメージを受けます。掻いているうちに本当に痒くなり、本格的に掻いてしまう…。痒みは精神状態と密接に関連しているからです。

湿疹や皮膚炎をしっかり鎮める…ということでは、ステロイド外用剤ほど効果のある薬はありません。掻くと皮膚のバリア機能が壊れ、炎症範囲が拡大する恐れがある場合にも、「痒い→掻き壊す→湿疹の悪化・拡大」の悪化のサイクルを断つためには必要だと思います。

ただ、炎症が落ち着いたら…赤みやジュクジュクがとれたら終わりというわけではなく、急性湿疹症状が落ち着いてからの皮膚を改善する治療段階が最も重要…と考えます。

一方では、ステロイド外用剤をつかっているにも関わらず、効かない…という方もいらっしゃいます。そういう方の皮膚は赤くて乾燥し、厚くゴワゴワの状態が多いように思います。そして、掻き壊した痕もよく見られます。

特に、アトピー性皮膚炎の根本は「バリア機能の破たん」「ドライスキン」であると思います。そのため、清熱薬で炎症が治まった皮膚は、そのような状態であらわれる…と思います。そのような状態の皮膚は、少しの刺激で悪化しやすい傾向にあり、慢性化につながりやすいと思います。

そんな方には、漢方薬とスキンケアが有効であると思います。

つまり、内側(漢方薬・食養生)と外側(スキンケア)で悪化のサイクルを断ち切るとともに、悪化させないためバリア機能を高めることが重要です。