こんにちは。
漢方薬を構成する生薬は、植物由来のもの、動物由来のもの、菌類由来のもの、そして鉱物由来のものがあります。
漢方薬の大半が植物由来のもので構成されていますが、それ以外の生薬も入っているものもあります。
中にはエッと言うような虫が入っていることも…。
ボクが研修をさせてもらった中国の雲南省にある「雲南中医薬大学第一附属病院」では、皮膚病の強い痒みを抑えるために全蝎(ぜんかつ:サソリ)や蜈蚣(ごしょう:ムカデ)などの虫類がよく使われていました。
日本の漢方薬の中には全蝎や蜈蚣の入っているものはありませんが、皮膚病でよく使われる「消風散(しょうふうさん)」の中には、痒み止めとして蝉退(せんたい:セミの抜け殻)が入っています。地竜(じりゅう:ミミズ)も、熱冷ましの目的でカゼ薬などに入っているのをたまに見かけます。
そして蟻(あり)。蟻は小さいけれど、体重の400倍もの重さのものを持ち上げることができ、1700倍の重さのものを引っ張ることができる…という報告があるように、蟻は力持ちの虫です。昔の人は蟻の力をいただこう…と考えたようですが、事実優れた鎮痛作用や筋骨を強く作用のあることが知られています。
蟻を食べる…というとボクたち現代人は顔をしかめてしまいますが、かつては貴族のみが許された高級食品だったそうです。もちろん食用蟻ですが、栄養豊富で免疫力を高めるだけでなく、老化防止にも効果がある…と言われています。
現代の薬理研究によって、蟻には人の免疫機能を調節し、過剰な免疫反応を抑えるはたらきがあることが分かっています。中国では自己免疫疾患である慢性関節リウマチに広く使われているそうです。蟻の製品としては「イーパオ」というのがあります。
恐るべし虫の力…です。