こんにちは。

病気が「どこで(表裏)」「何がどうして(寒熱)」「どうなっているのか(虚実)」…「陰陽」のバランスの崩れを分析する物差しとなる「八綱弁証(はちこうべんしょう)」。

その中で「どうなっているか(虚実)」をもう少し詳しく分析する…というものに「気血津液弁証(きけつしんえきべんしょう)」があります。

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「気」「血」「津液(水)」は、ボクたちの人体の基礎物質と考えられ、このバランスをチェックする物差しです。

「気」とは元気の気、「生命のエネルギー」のこと。気力の気…と言うように人の活力の素。「血」とは血液およびその機能を、「津液(水)」とは血液以外の水分およびその機能を指します。

中医学では、この「気」「血」「津液(水)」が体の中を不足なく、しかもちゃんと巡っていることが「健康」な状態である…と考えます。この状態(中庸)のバランスが乱れてしまうと、人は「健康」の枠から外れていきます。

「気」が不足した状態(虚証)を「気虚(ききょ)」、滞った状態(実証)を「気滞(きたい)」と言い、「血」が不足した状態(虚証)を「血虚(けっきょ)」、滞った状態(実証)を「瘀血(おけつ)」と言い、「津液(水)」が不足した状態(虚証)を「陰虚(いんきょ)」、滞った状態(実証)を「痰湿(たんしつ)」。ただ段階的に「水飲(すいいん)」「湿(しつ)」「痰(たん)」と分けたりもします。

「気虚」の場合、息切れ、汗かき、疲労・倦怠感があり、白っぽい顔色や話し声が弱い、内臓下垂や脱肛、めまいや立ちくらみ…といった症状が見られます。

一方、「気滞」の場合、胸や脇などが張ったり、移動する痛み、しゃっくりやゲップが多い、ため息…といったものが情緒と関係して起こる…といった症状が見られます。

「血虚」の場合、顔色が白かったり艶のない黄土色をしていたり、爪や唇の色が白っぽかったり。めまい、立ちくらみ、目がハッキリ見えない、手足のしびれ、動悸や不眠…といった症状が見られます。

一方、「瘀血」の場合、針を刺したような固定痛で夜に悪化する、病理的なしこり、ヘソの周囲・下腹部の圧痛、しびれや麻痺、内出血あるいは外傷によるアザ、皮膚粘膜の紫斑、皮膚の肥厚、健忘や痴呆…といった症状が見られます。

「陰虚」の場合、午後の発熱や頬の発赤、寝汗、手のひら足の裏のほてり、口の乾燥やのどの渇き…などの症状が見られます。また、舌の色が赤く乾いていて、ひび割れ(裂紋)があることも…。

一方、「津液(水)」の滞りは、粘度によって薄い方から「水飲」「湿」「痰」と呼び方が変わります。一般的には「痰湿(たんしつ)」とまとめて呼ばれることが多いです。

「水飲」の場合、セキや喘息、水っぽい痰、胸水や腹水、むくみや尿が出にくい、めまいや動悸、よだれや嘔吐…などの症状が見られます。

「湿」の場合、頭が重い、ターバンを巻いたよう、手足の重だるさや、関節の腫れや痛み、胸部や上腹部のつまり感、悪心嘔吐、食欲不振、腹痛や下痢、便がスッキリ出ない、尿の濁り、皮膚のジュクジュクや湿疹…といった症状が見られます。また、舌の苔が厚くなるのも大きな特徴です。

「痰」の場合、めまい、精神異常、しこり、セキや喘息、多量の粘っこい痰、胸が苦しい、不安感や恐怖感、不眠、てんかん、のどのつまり感や異物感…といった症状が見られ、舌の苔も同じく厚くなります。

ここまでが「気血津液弁証」で、「気」「血」「津液(水)」の「虚証」と「実証」の判断するときのポイントとなります…。

これに加え、「火」も「虚証」と「実証」に分けることができます。「火」が不足した状態(虚証)を「陽虚(ようきょ)」、滞った状態(実証)を「火盛(かせい)」…「実熱(じつねつ)」と言います。

「陽虚」の場合、寒がり、手足の冷え、顔色は真っ白、口は渇かず、尿量が多くて透明、下痢便、汗かき、疲労、倦怠感がある…といった症状が見られます。

一方、「火盛」の場合、局部の発熱や発赤、発腫、赤い顔色、濃い尿、便秘、目の充血のようなものから、精神錯乱などの精神的なものも…。また、舌の色が赤く、苔が黄色い場合も。

ただ、分類しても「どれか1つだけのタイプ」…ということではなく、合わさって起こっていることが多いです。なので、それに合った漢方薬…場合によっては2~3種類を合せることで、対応していきます。