こんにちは。
中医学では、四季の変化…温度、湿度、気圧などの外部自然環境の異常な変化が原因で起こる病気のことを「外感病」と呼びます。
感染症には「傷寒(しょうかん)」と「温病(うんびょう)」の2つの治療法があります。
1つは日本で盛んに用いられた古典「傷寒論(しょうかんろん)」にまとめられた治療法、もう1つはそれよりも比較的新しい「温病学(うんびょうがく)」による治療法です。
「傷寒論」で論じられている外感病のほとんどが、「内臓機能の低下とともに体の熱エネルギーが失われて、冷えてくるもの…」。治療に用いらる漢方薬のほとんどが体を温めながら機能を回復させるものがほとんどです。
もう一方の「温病学」で論じられている外感病の多くは、「高熱によって体の体液である水分が少なくなり、体の機能が低下するもの…」。この場合は、体液を保護しながら解熱する治療法が主になります。
「傷寒」では、外感病の原因は体の抵抗力…免疫力が低下し、特に外気の「寒さ」に対して皮膚の毛穴の温度調節がうまくいかず、体温の調節ができなくなり発熱する…と考えられます。なので、関節や首筋の筋肉が痛んだり、頭痛や強い寒気…などの症状を伴うのが特徴です。この場合、「葛根湯」や「麻黄湯」のような体を温める漢方薬で強く発汗させ、体温を下げて治すことが多いです。
「温病」では、細菌、ウイルスなどの病原体が鼻、のど、気管支の粘膜から侵入して、上気道感染症を引き起こし、鼻づまり、鼻汁が黄色い、のどが腫れて痛い…などの症状が特徴です。こうしたときに温める薬で強く発汗させると、一時的に体温は下がるものの、体の水分を消耗し、かえって発熱や炎症反応が強くなることもあります。
「温病」に対する認識は地球温暖化に伴い、西暦1000~1200年頃からあったそうですが、治療法がまとめられたのは1600年の明、清の時代…。インフルエンザ、各種の感染症に対する治療法の「温病学」が完成しました。「温病」の代表処方に「銀翹散(ぎんぎょうさん)」「天津感冒片(てんしんかんぼうへん)」「涼解楽(りょうかいらく)」があります。
感染症の発熱に対して西洋医学では抗生物質などがつかわれますが、中医学では様々な生薬を配合した漢方薬で総合的に治療していきます。
感染症には「傷寒(しょうかん)」と「温病(うんびょう)」の2つの治療法がある…ということを覚えて下さい。