こんにちは。

ボクたちの子どもの頃の冬は今よりも寒く、氷がたくさん張り、雪ダルマやカマクラを作ったりして遊ぶくらい雪がありました。長靴の高さギリギリまで雪が積もっていたのを覚えています。地球温暖化の影響でしょうか…。

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それよりもさらにさかのぼって2000年前…お隣の中国の漢朝時代は、亜氷河期…と言われる寒気が広がっていたんだそうです。

当時の農業生産量は低く、食物から十分なエネルギーを得られなく、体温を保つ衣類も足りなかった…ということで、体の「陽気(熱エネルギー)」は寒気によって損傷され、いろいろな「傷寒病(しょうかんびょう)」が流行していた…と考えられます。

そんなときに生まれたのが「傷寒論(しょうかんろん)」…。張仲景(ちょうちゅうけい)が編纂した伝統中国医学の古典です。

その「傷寒論」に収載されている漢方薬が、カゼ薬で有名な「葛根湯(かっこんとう)」…。他にも「麻黄湯(まおうとう)」「桂枝湯(けいしとう)」「麻黄附子細辛湯(まおうぶしさいしんとう)」…などの漢方薬も収載され、温める漢方薬が多いのが特徴です…。

悪寒と発熱があり、汗の出ないときは「葛根湯」や「麻黄湯」を、汗が出ている場合は「桂枝湯」を使います。

この漢方薬を用いることで人体の「陽気」を補助し寒邪気を追い出すことにより、人々の健康に大いに役立ってきました。「傷寒論」のころは、冷えからくる寒性の病気が主流で、傷寒論の処方には体を温めて治療をするものが多かった…ということです。

ところが時代が変わり、今から約500年前の中国明朝時代…。環境の変化により温熱の気が増えてきました。この環境の変化は、「温熱病」により人体の「陽気」は熾熱化し、「温病(うんびょう)」に罹りやすくなりました。

「温病」とは温熱病邪によって引き起こされ、主とした臨床現象は陽熱症状であり、ある程度の感染症をもつ疾患の総称のこと…。カゼに加え、インフルエンザなどのウイルスも、中医学では「温病」と考えます。特にのどからくるカゼ…これは「温病」の特徴です。

「温病」に対する漢方薬としては、「銀翹散(ぎんぎょうさん)」、また銀翹散製剤系列の方剤である「天津感冒片(てんしんかんぼうへん)」や「涼解楽(りょうかいらく)」などがあります。

「温病学」は「傷寒論」の時代からしたら新しい医学…。先人たちは病気と闘う過程において、自然や社会環境の変化に応じて必然的に新たな医療手段を生み出したと言えます。

「日本漢方では、中国古代にまとめられた傷寒論医学ばかりに固執し、時代が下って清代に発達した温病学を取り入れようとしない…」ということを耳にします。

「傷寒論」のカゼ薬の葛根湯、麻黄湯、桂枝湯、麻黄附子細辛湯に加え、「温病学」の銀翹散や天津感冒片、涼解楽のカゼ薬があると、幅広いものに対応できます。特に現代人は「温病」のカゼが多いように思います…。

大まかに言うと、青い(寒)カゼは「傷寒論」のカゼ薬、赤い(熱)カゼは「温病学」のカゼ薬で対応したらいいのではないかと思います。

カゼには葛根湯…という常識は少し変わりつつあります。