こんにちは。

中医学は、ボクたちの体の機能を「肝」「心」「脾」「肺」「腎」の5つ(五臓)に分けて考えます。

中医学でいうところの「腎」ですが、脳下垂体、副腎、性腺、甲状腺、すい臓などの「ホルモン系」や「脾尿生殖器」などのはたらき、「免疫」に対するはたらきなども含まれ、体全体において重要な役割を担っています。

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「腎」の役割をまとめてみると…

◎生殖機能…インポテンツ、不妊
◎成長過程…老化、発育不良
◎水分代謝の調節…尿利異常(多尿・頻尿・失禁)、口渇
◎生命力・精力の貯蔵…疲れやすい、無気力
◎毛髪…白髪、抜け毛、カサカサして乾く
◎耳…耳鳴り、難聴
◎骨・歯…骨が折れやすい、歯がグラつく、虫歯
◎骨髄・脳…健忘、注意力散漫、ノイローゼ
◎気を納める…呼吸困難、喘息、気管支炎
◎腰は腎の器…足腰の痛み、足腰の衰弱

パッと見るとお分かりのように、年を重ねるにつれて弱ってくる部分です。

この「腎」のはたらきを補うことを「補腎(ほじん)」と言います。これは漢方特有の考え方ではないでしょうか…。そして、「補腎」のはたらきを助ける漢方薬を「補腎薬」と呼びます。

病院で出される漢方薬には、それほど「補腎薬」はありません。「六味地黄丸(ろくみじおうがん)」や「八味地黄丸(はちみじおうがん)」など、あることはありますが、それだけですべての証(タイプ)に合うか…ということですが、残念ながらそうではありません。

やはり、その人に合った「補腎薬」を選びたいですよね。

「補腎薬」にも体液不足の「ほてりタイプ」に使うものと、エネルギー不足の「冷えタイプ」に使うものとで違います。つまり、「熱」と「寒」に分けて考える必要があります。これを間違えると逆効果になりかねません。

<ほてりタイプ>
◎ショボショボ型…目の疲れ、かすみ目、目が乾く、視力の衰え、頭痛、めまい、肩こり、怒りやすい…など。(中成薬)杞菊地黄丸(こぎくじおうがん)など。

◎カサカサ型…鼻炎、カラ咳、喘息、のぼせ、しっしん、かゆみ、アトピー性皮膚炎…など。
(中成薬)八仙丸(はっせんがん)など。

◎イライラ型…イライラ、不眠、息切れ、便秘、動悸、不安感…など。
(中成薬)天王補心丹(てんのうほしんたん)など。

◎アツアツ型…ほおが赤い、のぼせ、熱感、寝汗をかく、手足がほてる…など。
(中成薬)瀉火補腎丸(しゃかほじんがん)など。

<冷えタイプ>
◎フラフラ型…全身的な冷え、顔色が青白い、息切れ、動悸、疲れやすい、血色不良…など。
(中成薬)参茸補血丸(さんじょうほけつがん)など。

◎ゼイゼイ型…冷えやすい、薄い痰、セキ、喘息、免疫力低下…など。
(中成薬)双料参茸丸(そうりょうさんじょうがん)など。

◎キュルキュル型…体力の低下、食欲不振、胃下垂、腹痛、軟便、血色不良、肉体疲労…など。
(中成薬)参馬補腎丸(じんばほじんがん)など。

◎チョロチョロ型…むくみやすい、頻尿(特に夜間頻尿)、顔面蒼白、寒がり、手足の冷え…など。
(中成薬)八味地黄丸(はちみじおうがん)、金匱腎気丸(きんきじんきがん)など。

健忘、耳鳴り、歯がもろい、精力減退、脱毛、足腰がだるい、腰痛…などの症状に加え、さらにひとりひとりの症状や体質の違いで細かく分類されているんです。

やはり、自分に合った「補腎薬」の方が効き目が一味も二味も違うと思いますよ。