こんにちは。
中医学の診断法の「四診(ししん)」。
顔色や舌の色など、患者の全体の状態を診る「望診(ぼうしん)」。声の調子や口臭など聴覚と臭覚を使っている状態を把握する「聞診(ぶんしん)」。触診で脈を診る(脈診)、ほかに患部の痛み、腫れ、硬さや柔らかさ、圧痛などを診る(腹診)…「切診(せっしん)」。病状や食欲などを質問する「問診(もんしん)」。この4つです。
その中の「望診」は、パッと見てその人の健康状態を判断する診断法。
「望診」の1つ「舌診(ぜっしん)」は、舌の薄い粘膜に包まれている、血液の「色」や「流れ」を見て、全身の健康状態を見ます。また、体の中の水分代謝の状態は、舌の表面につく苔(舌苔)にあらわれます。
また、「臓の華(はな)」と言って、「五臓」と深く関わる部位があります。そこを見ると、「五臓」の中のウィークポイントが見えてくることもあります。
「五臓」とは、「肝」「心」「脾」「肺」「腎」。昔の人は、ボクたちの体のはたらきを「五臓」のはたらきにまとめました。
「肝」=血液の貯蔵と新陳代謝、血流をうながす、自律神経の調整
「心」=大脳・精神活動と循環器系
「脾」=飲食物の消化と吸収、水分代謝
「肺」=鼻・のど・気道・細胞・皮膚までを含めた呼吸機能
「腎」=生殖機能と泌尿器系、ホルモン系
その「臓の華」と言うのが、「肝=爪」「心=顔」「脾=唇」「肺=毛」「腎=髪」です。「五臓」を観察するときのチェックポイントの1つになります。
「肝」の華は爪にある
爪にヒビが入りやすい、もろくなる、すぐに色が変わる、爪が黒くなったりする…など、どこといって症状はなくても、それでもよく聞くと、生理不順などの症状があったりします。
「肝」は筋(きん)をつかさどり、爪は筋の余り…「筋余(きんよ)」と言われます。筋は筋肉でなく、筋膜・靭帯のこと。その筋が丈夫であれば、爪の状態もいい…。
血が不足して「肝」の機能が低下すると、筋を補うことが出来ません。つまり、爪の状態も悪くなります。
「心」の華は顔にある
「心」は血脈をつかさどります。全身の血液や血液の流れている脈管を統括します。血管が拡張したときにには、顔が紅潮したり、心臓の循環が悪いときは、顔色が紫色になるなど、すぐに顔に出ます。
「脾」の華は唇にある
唇の状態は、「脾」に深く関わりがあります。「脾」の状態が悪いと、唇にツヤがなくなります。
「脾」が衰えると、食欲がなくなり、胃腸の機能が落ちるのと同じように、栄養状態が悪くなって唇の色が落ち、ツヤがなくなります。
「肺」の華は皮毛にある
「肺」は皮毛をつかさどります。皮毛には皮膚、汗腺、産毛などが含まれます。「肺」が正常であれば、皮膚のツヤもよく、潤いがあります。「肺」の機能が低下するときは、邪気は皮毛を通じてカゼなどの症状を引き起こします。
アトピー性皮膚炎などの子どもは、「肺」が弱いことが多く、気管支喘息であったりします。肌はツヤがなく、ザラザラしているのは「肺」の状態を反映しているんです。
「腎」の華は髪にある
「腎」は精を貯蔵します。「腎精」は毛髪を養うので、「腎」の華は髪にある…と言います。
年をとると「腎精」が少なくなり、血も不足しやすくなります。髪に栄養を与えることができなると髪が抜けたり、白くなったりします。「腎」のはたらきが髪に反映しています。
「臓の華」は「五臓」のはたらきを見るための1つのポイントです。