こんにちは。

今回、山口中医薬研究会の勉強会に「仝(トン)先生」をお迎えして、「鼻のトラブルに対する中国漢方の応用」に対するというテーマで、お話を聴きました。

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トン先生は、もともと日本に来られる前は、中国の病院で1万人以上の耳鼻科の症例をもっている中医師です。

今回、先生の専門である「鼻のトラブル」について、中医学の考え方と対応法のお話でした。

その中で、結構多い症状として「後鼻漏(こうびろう)」というものがある…というお話が印象に残りました。

「後鼻漏」とは、病名ではなく、鼻汁がのどの方に落ち、気管をふさぐ状態のことです。いわゆる、鼻の方(前)に行かず、のど(後)の方に落ちてしまう状態です。

そう言えば、「後鼻漏」という言葉を知らないとき、「鼻汁がのどの方に落ちて、口の中が塩辛い…」とか「鼻汁がのどの方に落ちて、セキ込む」などの話をたまに聞くことがありました。

「後鼻漏」の原因としては、慢性鼻炎、蓄膿症(慢性副鼻腔炎)、アレルギー性鼻炎、血管運動性鼻炎などだそうです。

中医学的に考えると「肺、胃腸のはたらきが低下している…」可能性があると言えます。体力や免疫力の低下などです。

胃腸のはたらきが低下すると、体内の水分が溜まるようになります。なので、鼻炎関連は「上半身の水毒」症状と言えるのかもしれません。

カゼを引いたり、アレルギー性鼻炎などで起こる鼻づまり。鼻の粘膜に炎症が起こるため、粘膜が腫れ上がり、そこに鼻水が溜まって、鼻づまりを引き起こす…ことになります。

また、夜寝るときに起こりやすい鼻づまりは、血管を支配する副交感神経が夜活発になり、血管が拡張し、鼻の中でうっ血を起こしやすくなるため…だということのようです。

中医学的には、「粘膜抵抗力の低下」「自律神経の乱れ」「水分代謝の低下」が考えられます。

そんなとき、トン先生の考える漢方処方を紹介していただきました。漢方はオーダーメイドのお薬です。そのときの状況に合わせて、足したり引いたりしながら対応することになります。

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また、鼻炎に効果のあるツボ…も薬と一緒に押すと、さらに効果がアップする…とのことでした。特に「迎香(げいこう)」「晴明(せいめい)」です。「晴明」は鼻の付け根の両わき、「迎香」は小鼻の左右のふくらみのわきにあります。

また、首から上の症状は「合谷(ごうこく)」という親指と人差し指の骨が合わさるところにあるツボを押すと、大体何でもいけるんだとか…。鼻炎だけでなく、肩こり、目の疲れ、歯の痛み…なんかに効果があります。

漢方薬と、ツボ、そして生活改善で、鼻のトラブルを解消する…というお話は、これからの漢方相談に大いに生かしていけます。

トン先生、ありがとうございました。