こんにちは。

皮膚炎・かぶれは何故悪化するか…。それは「痒み」を我慢できず、「掻く」ことが刺激となり、症状悪化のキッカケとなるからだと考えられます。

痒いから掻く、無意識に搔き続ける→搔き壊すことで炎症は悪化し、患部が化膿してジュクジュクしてくる→炎症が痒みを起こし、さらに痒くなる、痒いからまた掻く…。

この悪循環に陥ると、症状はドンドン悪化してしまいます。

「痒み」は、ヒスタミンに代表される化学伝達物質が知覚神経を刺激するために起こるのですが、ボクは「そこに何かあるから掻いて取って!」という「体からの警報」だと考えています。

よく、「痒み」は火災報知機に例えられます。「うるさいから」と消しても、また鳴り出しますが、それはそこに「火事」があるからです。「痒み」という警報だけを止めてもダメなのです。

ボクたちの体では、様々な刺激に対する防御反応として、「免疫システム」が働いています。

「免疫システム」は体を守ってくれる大切な働きをしていますが、過剰に働くことで炎症が起こり、体にとってむしろマイナスになってしまうことがあります。

刺激を受け、免疫細胞が活性化すると、病変部位に白血球が集積し、炎症が悪化します。

皮膚が炎症を起こし、局部に黄色いカサブタ、ジュクジュク、赤いブツブツが見られ、肘や膝の内側や、首がジュクジュクし皮膚が厚くなっている「急性期」、赤あるいは紫色でゴワゴワ、カサカサ、亀裂のある肌の状態で痒みが激しく、掻き毟ると出血する「混在期」の場合、体の中で炎症が起こっていると考えられます。

中医学的には「清熱」「解毒」「涼血」「利湿」の漢方薬で対応することになります。

現代医学では「清熱=抗炎症作用」「解毒=抗菌・抗ウイルス作用」「涼血=血液免疫反応抑制(CRP高い)」「利湿=粘膜炎症抑制」という考え方になり、「免疫システム」を正常に戻すことを目的にしていると言えます。

3年前から皮膚トラブルを抱える女性。1ヶ月前から悪化し、皮膚科を受診され、ステロイド外用剤と抗アレルギー剤の内服薬が処方されました。1ヶ月経っても効果が感じられないため、ご相談にみえられました。

顔、頭皮、首、胸、背中、肘から先の露出している部位が真っ赤で、痒みがあります。抗アレルギー剤を服用していても、夜中に痒みで目が覚めるのだとか。

そこで、まず1ヶ月ほど漢方薬を飲んでいただきました。1ヶ月後、薬局にみえられたときは、全体的に赤味が引いていて、パッと見ても分からないくらいでした。服用を始めて2〜3日くらいから良くなってきたそうです。ステロイド外用剤の使用頻度も気になるときに使用する程度で、ポイント塗りに。夜も痒みで目が覚めることもなくなりました。もともとの出発点である手指の荒れはあるものの、炎症の範囲は狭まったように感じます。これからは漢方薬を少しずつ減らしながら、最終的には自力で対応できるのが目標です。

1ヶ月でここまで改善は早い方ですが、漢方薬は皮膚病に対して有効な治療法であると言えると思います。