こんにちは。

中医学の基本治則理論に「治病求本」「三因制宜」という考え方があります。

「治病求本」とは、すなわち疾病の原因を求めること。

「三因制宜」は「因時、因地、因人」…すなわち人や季節、時代、地域によって対策が違うということです。

「因時」は季節や気候変化、「因地」は地理や生活環境、「因人」は年齢、性別、体質、状態、生活習慣を指し、これらは人によってそれぞれ異なります。

現代医学的に同じ病気であっても、現れる症状やもとの体質、悪化する季節や天候、年齢、性別、生活環境や習慣などにより、治療は全く違うものになります。

最近よく耳にする「気象病」。気候や天気の変化が原因で起こる体の不調の総称で、頭痛やめまい、疲労感、関節痛、気持ちの落ち込み(うつ)、吐き気、喘息など様々な症状が出るのが特徴です。

潜在患者数は1000万人に上るとも言われていますが、これも治療に「三因」を考える必要があると思います。

その中でも、季節に現れる心身不調を「季節病」、気候の変化に伴う心身不調を「気候病」「天気病」と分けられます。

先日参加したWebセミナーの中で、「気節病は陰陽五行で考える」「気候病は気・血・津液(水)で考える」とありました。

「季節病」は、春:肝(精神系)、夏:心(循環系)、梅雨:脾(消化系)、秋:肺(呼吸系)、冬:腎(泌尿系・内分泌)を考える必要があるというもの。

「季節病」は「気温」「気圧」「日照」の影響を受けます。大まかに「気温」は夏と冬に、「気圧」は梅雨に、「日照」は春と秋に影響を及ぼすことが多いです。

「気候病」は、気(自律神経)、血(血液循環):気温の変化、水(リンパ循環):気圧の変化…を考える必要があるというもの。

「天気病」「気候病」は「台風」や「低気圧」「寒暖差の急変」の影響を受けます。例えば、①低気圧の発生→②上昇気流が発生する→③大気中の酸素量が低下する→④体内酸欠・血管拡張→⑤むくみやすい…。

ボクたちは「昼夜の循環(日照の変化)」「四季の循環(気温の変化)」の影響を受けています。

「類は友を呼ぶ」という言葉がありますが、これは人間関係だけでなく、気候変化や外的環境との関係にも当てはまります。冷え性の人は寒さの影響を受けやすい。同様に、暑がりの人は暑さに弱く、水分代謝の弱い人は湿気を嫌い、体液不足の人は乾燥が気になる…といったように、ボクたちは自分の体質と同じような性質を持つものに影響されやすいということ。

ボクたちは自然の中で生活しています。自然界の一員であり、自然の一部として自然界から様々な影響を受けています。なので、病気を治療する時には、常に人体と自然界の関係を一緒に考えます。

根本的には体質改善が必要ですが、体のバランスを良くすると、外的要因から影響を受けにくくなります。それは中医学の得意分野だと思います。