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中医学では体の細胞を元気にする働きを「補気」と言いますが、「二大補気薬」と呼ばれているのが「人参」と「黄耆(おうぎ)」。

先日、中医師が「人参製剤」と「黄耆製剤」の比較を、「マクロファージ」「IgA抗体」という免疫の仕組みと絡め紹介されていました。

ボクたち人間は体内に侵入したウイルスを遮断する武器として「マクロファージ」や「IgA抗体」などがあります。

マクロファージ

「マクロファージ」は血液中の単核白血球から分化し、量と質は骨髄と関係しています。全身をパトロールし、外敵(ウイルスや細菌など)を見つけると、自ら活性物質を分泌して他の免疫細胞に知らせると同時に、外敵を自分の細胞内に取り込んで食べたしまいます。ウイルス感染の予防と治療に非常に良い武器と言えます。

中医学的に考えると、「マクロファージ」の生成は「脾胃(消化器系)」と関係があるとのこと。実際、中国の動物実験データでは、健脾補腎作用をもつ「人参製剤」で「マクロファージ」の大きさと増殖速度及び貪食作用を増強することが確認されているのだそうです。

IgA抗体

「IgA抗体」は生体内において最も生産量の多い抗体で、「分泌型IgA抗体」として各種ウイルスの粘膜組織を標的とした感染症に対する生体防御の最前線を担っていて、特に鼻を始めとした上気道の粘膜から「IgA抗体」は多く分泌されていて、飛沫から入るウイルスを捉えて、ウイルスの活性を弱くさせます。

元気な人がウイルスの影響を受けにくい理由は、上気道の粘膜が十分で「IgA抗体」が多く分泌されているから。逆に、高齢の人がウイルスに感染しやすい原因が、上気道の粘膜が徐々に萎縮し「IgA抗体」の分泌量が少なくなるため。

中医学で考えると、上気道の粘膜の厚薄と機能の状況は、「肺(呼吸器系)」「脾(消化器系)」の臓腑機能や「衛気」の防衛機能などと関係しています。つまり、「肺」「脾」の臓腑機能や「衛気」の防衛機能が強くなると、ウイルスを遮断する力は強くなるわけです。中国の薬理研究や動物実験データにより、「肺」「脾」の気を補い「衛気」を増強する「黄耆製剤」は上気道の粘膜の厚さと「IgA抗体」の分泌を増強することが確認されたのだとか。

「人参」と「黄耆」

つまり、「人参」は「マクロファージ」を増強し、「黄耆」は「IgA抗体」を増強する。同じ「補気薬」でも、活用の仕方に違いがあり、「人参」は体内から元気づけ、「黄耆」は体表部や粘膜を強化し、免疫力を調整する働きがある…ということになります。

なので、「人参製剤」や「黄耆製剤」は新型コロナウイルス感染症の予防に効果があるのではないかと考えます。