こんにちは。

「瘀血(おけつ)」は、西洋医学にはない中医学独自の考え方。

「瘀血」の「瘀」という字は「淤」から来ていると言われています。「淤」というのは、本来「水が溜まって流れない」という意味、つまり「瘀血」というのは「血の留まり」です。

中医学には「血液内結為瘀血(血液が体内で凝固することは瘀血である)」、「汚濁之血瘀血(汚れた血液を瘀血という)」、「離経之血為瘀血(内出血が体に溜まることは瘀血である)」と、色々な捉え方があります。

2000年以上も前に記された「黄帝内経(こうていだいけい)」の中にも、「悪血」「留血」「血不通」などの記載がありますが、これらはいずれも「瘀血」のことを指しています。

以上のことをまとめてみると、

瘀血とは…

  1. 血液の循環障害
  2. 血液の汚濁、粘稠(コレステロールと中性脂肪が高い)
  3. 内出血
  4. 器官の増殖・変性・硬化
  5. 各種の腫脹・ガンなど

と5つの意味が含まれています。

中医学には「瘀血為百病之源」「百病多兼瘀血」(多くの病気は瘀血による)という言い方があります。古人は昔から「瘀血」が病気の元凶になることを知っていたことが分かります。

近代中国になってから、「瘀血」とその治療法「活血化瘀(血行改善)」に対する研究が盛んになり、各地の医療機関から多くの論文が発表されています。

「瘀血」に関する論文は4000あまりに及ぶそうですが、その中で「活血化瘀療法」により治療した「瘀血証(瘀血が関係している病気の総称)」は414種類あるのだとか。「瘀血は百病の源」とある通り、何の誇張でも何でもなく、「瘀血証」のカテゴリーの広さと、「瘀血」が「万病の源」ということがよく分かります。

現代科学の研究によると、「瘀血証」の場合、体内の「過酸化脂質」と「フリーラジカル」が増加するため細胞に損害を与えるとしています。「過酸化脂質」や「フリーラジカル」は、各種の疾患や老化の原因となるものでもあり、そのため「フリーラジカル」の増加を「万病の源」として警戒していますが、これは中医学の「瘀血」の考え方と一致しています。

例えば「丹参」「赤芍」「川芎」「紅花」「田七人参」などの血液改善作用のある生薬には、フリーラジカルを除去する働きのあるSOD(スーパーオキシドジスムターゼ)の活性を高める作用があるとされています。

このような生薬にはSODの活性に欠かせない亜鉛(Zn)、銅(Cu)、マンガン(Mn)、クロム(Cr)などの微量元素を豊富に含んでいるから…と言われているのです。

漢方薬や自然薬などでこのような微量元素を補充できれば、SODの活性が高まり、「フリーラジカル」の攻撃から攻撃から細胞を保護したり、DNAの酸化損傷の防止、それに伴う病気の予防、老化防止に期待できると思います。