こんにちは。山一薬局立小路店の岡村祥平です。
先日、山一薬局立小路店で、中医師の劉伶先生による「夏バテ解消と養生」と題したミニ講演会がありました。
夏バテは、夏の盛りに「暑さのために食欲が減退したり」「水分の摂り過ぎで体調をくずしたり」「内臓の機能が低下したり」などの総称です。暑気あたり、暑さ負けとも呼ばれます。
そのため、「体がだるい」「疲れやすい」「不快感」「集中力がない」「食欲不振」「下痢」「めまい」「微熱」など、起こる症状は様々です。
夏バテの起こる原因として、
1.ミネラル不足…汗をたくさんかくと、体内のミネラル分(ナトリウム、カルシウム)も同時に失われます。
2.栄養素欠乏症…暑さにいる消化酵素の効能が低下したり、栄養吸収の悪化による食欲不振から、ミネラルの補給ができないから。
3.自律神経失調症…血管、心臓、汗腺を自動的に調節する交感神経が、室内外の温度差により血管は広がったまま、縮んだまま、という状態を繰り返し、自律神経失調症を引き起こします。
それでは夏バテにより、臓腑機能がどう影響するか?ですが、五臓でいう、心、肺、脾、肝に影響を受けやすくなります。
心…循環器系。「汗は心の液」という言葉があります。心気、心陰を消耗させ、動悸などが出ます。
肺…呼吸器系。「肺は気を司る」という言葉があります。汗、疲れで、肺気、肺陰不足となり、咳や膀胱炎、皮膚の痒みなどが出ます。
脾…消化器系。「脾は運化を司る」という言葉があります。冷たい物の食べ過ぎ、飲み過ぎは脾気を消耗させ、食欲不振や下痢、便秘、むくみなどを起こします。
肝…自律神経系。「肝は蔵血(ぞうけつ)、疏泄(そせつ)を司る」という言葉があります。肝に補い足りない場合、精神疲れが出ることも。
それでは「養生からの夏バテの解消法」は?ということですが…
まずは、食事からの栄養補給です。肉、野菜、果物からタンパク質、ビタミンB1、ビタミンCをシッカリ摂ること。食材としては、野菜は「瓜類」のキュウリ、ゴーヤ、冬瓜、「葉物」のセロリ、青ジソ、小松菜、「根菜類」の大根、ニンジン、ゴボウなどです。果物としては、スイカ、メロン、桃、ブドウなど。タンパク質は、鶏肉、豚肉、豆腐、魚などが消化しやすいようです。
そして、冷たい食べ物、飲み物を控えること。日本人は、夏に具のない素麺だけを食べる、そして冷たい食べ物、飲み物を摂る…日本に来たばかりの時、中国人の劉伶先生にとって、そういう食事は考えられなかったそうです。今でも抵抗があるそうです。
そして、適当な運動、しっかり睡眠時間をとること。
夏バテ解消の漢方として…
胃腸から…補中丸(ほちゅうがん)、晶三仙(しょうさんせん)、勝湿顆粒(しょうしつかりゅう)など。食欲がない、もたれる、吐き気、便秘、下痢などに。
胃腸が元気になる→消化吸収がよくなる→体力がつく→元気になる…といった具合です。
気を補う…麦味参顆粒(ばくみさんかりゅう)、香西洋参(しゃんせいようじん)など。だるい、疲れやすい、朝起きづらい、寝汗などに。
体力は「気」と呼ばれ、元気さを表します。エネルギーの補給です。
血を補う…婦宝当帰膠(ふほうとうきこう)、参茸補血丸(さんじょうほけつがん)など。めまい、冷え、頭がボーっとするなどに。
夏の少食で栄養不足、暑さによる消耗、冷房による冷えなどには「血」が必要です。
呼吸器系を守る…双料参茸丸(そうりょうさんじょうがん)、衛益顆粒(えいえきかりゅう)など。秋の呼吸器系疾患の予防:空せき、喉のイガイガ、喘息体質に。
猛暑で体の陰分を消耗してしまう。もともと呼吸器が弱い、持病がある。カゼ引きやすいタイプは、呼吸器系を守ることが大切です。
精神を穏やかに…逍遥丸(しょうようがん)、シベリア人参、温胆湯(うんたんとう)など。イライラ、熟睡できない、動悸、プチ鬱などに。
暑さで体力が弱くなり、仕事で疲れたり、悩みも多くなります。
また、水分の補給も常温で。おススメは、緑茶、麦茶だそうです。
ご参考にして下さい。