こんにちは。

中医学では、血液をはじめ体の各部分に栄養や潤いを与えるものを「血」と呼びます。「血」は人の生命活動を維持する基本のもの。顔色が良く艶やかで、皮膚が潤っていて、毛髪に光沢がある、目などの感覚器や筋肉、骨が円滑に動くのも、全て「血」が十分にあって初めて出来る…というわけです。そして、心、思考、気分などの精神活動を支えているのも「血」です。

そんな「血」ですが、特に女性の一生は「血」とは切っても切れない関係があります。

女性は毎月の月経で多くの「血」を消耗してしまいますし、妊娠、出産、授乳には十分な「血」が必要です。妊娠しやすい体づくりのためには、十分な「血」が必要なので、女性は常に「血」を養うことが大切なわけです。

この「血」を補う「補血薬」で有名な処方に「四物湯(しもつとう)」があります。

「当帰(とうき)」「芍薬(しゃくやく)」「川芎(せんきゅう)」「地黄(じおう)」の4つの生薬からなる処方で、穏やかで、飲みやすく、血を養い、月経を調節して「血の道」など「血」に関連する病気によく使用されています。また、時代の流れとともに「四物湯」は処方のベースとして、様々な漢方薬に発展しています。

たとえば、「婦宝当帰膠(ふほうとうきこう)」は「四物湯」の「血」を養う効果、月経を調節する効果を生かし、さらに「気」「血」を補う生薬を加えて、その効果をパワーアップさせた漢方薬です。

「婦宝当帰膠」の主役(主薬)で、成分の70%を占めている「当帰」は、女性の諸症状によく使用されるため、婦人科の「聖薬」と称されています。主な作用は「補血:血液を補う作用」「活血:血行を促進する作用」「滋潤:肌や腸などを潤す作用」「調経:月経を整える作用」です。

最近の研究で、「当帰」は卵巣機能を改善させ、妊娠力をあげる生薬…であることが確認されています。

そんな「当帰」を主成分とする「婦宝当帰膠」をラットに与えたところ、卵胞を刺激して発育を促すFSH(卵胞刺激ホルモン)と、子宮内膜を厚くして受精卵が着床しやすい状態にするプロゲステロン(黄体ホルモン)の分泌量が増加した…という結果が出ました。つまり「当帰」には、卵胞の発育を助けたり、受精卵がより着床しやすく、着床後も流産しにくくすることが考えられます。

研究により、次々とエビデンスが明らかになってきている漢方薬ですが、中医理論の正しさの証明になっていると思います。

女性は「血」をもって体の根本となす…月経・妊娠・出産・授乳、これは女性特有の生理現象であり、すべて「血」の充実度とその循環が大きく関わっています。貧血、冷え症、月経不順、月経痛、不妊、肩こり、便秘、肌荒れ、薄毛、更年期障害などの様々な悩みも「血」の栄養不足、血行障害が関係していることも少なくありません…。

女性の美と健康を維持するのには、根本には「血」の充実と良好な血行が大切だと考えます。