こんにちは。
健康な人の皮膚はみずみずしさと弾力性を備え、アレルゲンや微生物などの外からの刺激から身を守ってくれています。
しかし、加齢などによって皮脂の分泌が低下すると皮脂膜が薄くなり、角質層の水分が減少しやすく、乾燥肌・乾皮症になりやすくなってしまいます。角質層にあるセラミドや皮脂などの脂分の低下によって皮膚の水分の蒸発が促進されるため、皮膚のバリア機能が弱まることが原因です。
生後6ヶ月ごろまで活発な皮脂の分泌は、思春期にかけて少なくなり、女性では10~20代、男性では30~40代に最も皮脂の分泌量が多くなりますが、以降は減少傾向にあるようです。
この皮脂量は主にホルモンによって調整されていて、高齢者になるとこれらホルモンの分泌が減少し、皮脂腺の機能も低下して乾燥しやすくなるため、乾皮症が多くなるわけです。
一般的に高齢者に多いとされる乾皮症ですが、アトピー素因をもつ子どもや、石けんなどの使い過ぎにより若い人でも起こることがあります。特に冬に悪化することが多いのが特徴です。
乾燥によりバリア機能が低下すると、アレルゲンや微生物など外からの異物の侵入が容易になり、炎症が生じやすい状態に…。例えば、切ったばかりの生木にはそう簡単に火がつけることができませんが、枯れ木には簡単に火をつけることができます…。それはボクたちにとっても同じことだと思います。
そして、乾燥や掻き過ぎ、こすり過ぎでバリア機能が衰えてしまうと痒みの知覚神経である「C線維」が真皮から表皮にまで侵入し、痒みの閾値(いきち)が低下…ちょっとした刺激にも敏感になる…ということが知られています。
そのため、痒みを感じやすくなって掻いてしまう→さらに炎症が生じる→痒みが増悪する…という悪循環が生じるわけです。
このような場合、本治(根本治療)は、体の潤い不足を改善する「内服治療」で美肌作り、再発を防止することだと思いますが、スキンケアにより皮膚のバリア機能を高めてあげることで、効果がより高まります。スキンケアは「仮の柱」にはなりますが、直接皮膚を守ることから、効果を早く感じることができるようです。
まずは、スキンケアで保湿をしてあげながら、漢方薬の内服で対応し、「角層のバリア機能」「水分保持機能」を高めてあげることが大切であると考えます。
加えて、エアコンによる低湿度環境を避け、入浴時の洗い過ぎ、ナイロンタオルによるこすり過ぎにも注意してください。