こんにちは。
中医学で考える「虚実」は正気(抵抗力)と邪気の力関係に基づいています。
「虚証」とは「弱っている病気」です。たとえば、「気」とか「血」とかmボクたちにとって必要なものが不足し、それが原因で生まれる病気を指しています。
「疲れがたまっていていつもダルい」「ヤル気が起きない」「食欲もない」…という状況は、気が不足しているタイプの「虚証(気虚証)」と言えます。
これに対して「実証」とは、何かが不足するのではなく、反対に必要のない余計なものがあることで生まれる病気です。
余計なものとは、ボクたちを侵す様々な外界の「邪気」や、体内で生まれる「邪気」を指しています。
ボクたちを侵す「邪気」の勢いが強く、しかも「邪気」と戦う抵抗力は、まだ弱っていない…ということが特徴になります。
もし弱っていたら、それは何かが不足していることになり、「虚証」と「実証」が混在している状況で、単純に「虚証」「実証」に分けられない…というのが実際のところです。
たとえば、アトピー性皮膚炎の子どもさんには、普段から「食欲がない」「大便がゆるい」など、内臓が未発達だったり、弱っていることで症状が見られる場合があります。どこが弱っているか…というと、消化を受け持つ「脾」が弱っていると考えられます。
消化器系は「脾」に属し、皮膚は「肺」に属しています。五行の関係では、「脾」と「肺」は母子関係になるのですが、「母を強める」とは「脾を強める」ことで、食べ物をきちんと消化できるようにすることです。
「脾」が元気になれば、食欲が出て、美味しく食べられるようになり、便もカタチのあるものが出るようになります。消化・吸収がきちんとできれば、体の中に余計な湿気がたまらなくなる…というのが中医学の考え方です。
この湿気が皮膚病の原因と考えるため、皮膚だけでなく、「脾」にも注目する必要があります。つまり、「虚証」と「実証」を考える必要があるわけです。