こんにちは。
春は精神的に不安定になりやすく、ストレスを受けやすくなる季節です。
春は体と臓腑の関係では「肝(かん)」に属する季節とされています。
「肝」は気を全身に巡らす「疏泄(そせつ)」のはたらきがあるのですが、ストレスを受けることで、そのはたらきが衰え、気が滞ってしまいます。
本来はストレスがたまらないように「疏泄」させるのが「肝」の大きなはたらきなのですが、「疏泄」できないと情緒が伸びやかでなくなり、憂うつになります。
また「肝」は蔵血(ぞうけつ)作用があり、血液を貯蔵する臓器でもあります。
そんな「肝」という字の付く漢方薬に「抑肝散(よくかんさん)」があります。
「高ぶった肝気を抑える…」。もともとは、子どもの疳の虫(ヒステリー症状)の薬だったのですが、「認知症の周辺症状に効く…」ということで有名になった処方です。
認知症は中核的な症状である記憶障害以外に、幻覚、不安、抑うつ、妄想といった心理異常、攻撃的な行動や徘徊、興奮などの行動異常といった周辺症状(BPSD)を起こすことが知られています。
それまで抗精神病薬が用いられてきたのですが、高齢の認知症患者には副作用が出やすく、2005年に米国食品医薬品局(FDA)から、投与への警告が発せられたので、症状に対する治療薬がない状況だったところで注目されたのが「抑肝散」だったそうです。
また、「冠元顆粒(かんげんかりゅう)」も、福岡大学の藤原道弘薬学部教授の研究により、BPSDの予防と改善に効果があることが証明されています。
わが国における認知症の患者数は年々増加し、85歳以上の高齢者の4人に1人が認知症だと診断されているそうです。今後さらに患者数が増え、2020年には300万人近くまで達するそうです。
「冠元顆粒」などの漢方薬は、副作用も少なく、認知症の予防や改善に有効な手段として、今注目されているますが、認知症は早いうちから予防することが重要なんだと思います。