こんにちは。
ボクたちの体には、もともと異物が体内に入るのを防ぐ作用が備わっています。
目や鼻に入った異物は、涙や鼻水によって、口から入ったゴミなどは、セキや痰と一緒に外に出されます。
こうやって外部の異物から体を守っているわけですが、体質的に弱い部分に異物が進入したり、異物の量が多すぎる場合には、その作用が過剰に起ります。
それがアレルギー反応であり、このアレルギー性の疾患としては、アレルギー性鼻炎をはじめ気管支喘息、アトピー性皮膚炎などがあげられます。
中医学では、アレルギーは内臓の機能が低下したり、バランスを崩したときにあらわれるものと考えています。なので、アレルギー性の疾患に対しては、症状を取り除く方法と、アレルギーに負けないような体質づくりが必要です。
中医学の治療原則として、「本治(ほんち)」と「標治(ひょうち)」という原則があります。
「本」とは疾病の本質および病因をさし、「標」は主に症状をさします。つまり「本治」とは、疾病の根本原因である体質を改善すること、「標治」は一時的に症状を抑えることを言います。
漢方薬には「標治」を目的としたものと「本治」を目的としたものがあり、「標治」のあとに「本治」を…と段階的な治療をする場合と、「標治」と「本治」を同時にする場合とがあります。
たとえば皮膚病で考えた場合、炎症性皮膚病のうち「急性湿疹」のときは、皮膚が炎症を起こし、局部に黄色いカサブタ、ジュクジュク、赤いブツブツが見られます。肘や膝の内側や、首がジュクジュクし皮膚が厚くなってくることも…。
「急性期」は皮膚表面と体内の「熱」をまず取り除いていきます。これは「標治」です。
「慢性湿疹」は、赤みのないゴワゴワ、カサカサ、フケのように皮がむけます。また、痒みが強く、掻き壊し、サメ肌のようになっていきます。
「慢性期」は、体内にこもったわずかな「熱」を取りながら、肌のバリア機能を修復し、皮膚を潤すことで痒みを抑えます。また、低下した内臓機能を回復させ、潤いを取り戻します。これは「標治」と「本治」です。
アレルギー性疾患の発作はどれもつらいものです。一般的には「本治」が原則ですが、急性の発作などに対しては、一時的に「標治」で抑え、症状がおだやかなときには体質を改善させる根本的な対策を行うといったように、臨機応変に「本治」と「標治」を使い分けることが必要です。