こんにちは。
赤い発疹は体内に熱がこもっていることをあらわしていて、急性期の症状と考えられます。西洋医学の「炎症」にあたり、アトピー性皮膚炎、蕁麻疹などの急性期以外にも、ニキビや吹き出物でも見られます。
赤い発疹は、たとえて言うなら「家の中で火が燃え盛っている状態」であり、何よりも火を鎮めることが優先されます。このような場合、「熱証」に対して熱を冷ますはたらきのある「清熱剤」を用います。
ただ、中医学では訴えをもとに、その情報を分析して「証」を求め、証に応じて治療法を考案します。ですから、中医学の特徴でもある「弁証論治(べんしょうろんち)」をもとに、漢方薬を併せることはよくあります。
①清熱利湿薬との併用
紅斑を伴うジュクジュク(滲出)、ただれ(びらん)、滲出を伴う浸潤(ゴリゴリ)など。その場合は「湿」がたまっていると考え、清熱利湿薬との併用が必要です。
②解毒薬との併用
「毒邪」が強くなると、皮膚症状も悪化します。そのときには紅皮症、広範囲の紅斑、滲出、腫れなどが見られ、ときに膿疱も認められます。その場合には解毒の力を強化する必要があります。
③疏肝薬との併用
皮膚病に対してストレスは大きい増悪因子の1つです。仕事や勉強などのストレス、人間関係、家庭の事情などが影響し、イライラ、煩躁、不眠などの症状を引き起こし、その「熱」が皮膚に影響すると炎症を悪化させます。
④滋陰養血薬との併用
慢性皮膚病には繰り返しの「熱邪」により、体内の津液がかなり消耗され、皮膚を潤すことができず、肌の表面は乾燥、カサカサ、落屑が多く、ひどいときには皮膚が肥厚します。その場合には、滋陰養血薬との併用が必要です。
⑤健脾薬との併用
慢性皮膚病の中には皮膚症状を持ち、脾胃(消化機能)も低下している方もたびたび見られます。食欲低下、下痢しやすい、冷えると腹痛、腹脹などの症状がありながら、赤い発疹、滲出、赤い丘疹などがある場合は、健脾薬との併用が必要です。
⑥活血薬との併用
皮膚疾患の慢性化に伴って、表皮の肥厚、苔癬化(ゴワゴワ)が著明になり、色素沈着も強くなってきます。これらの症状は「津液」の消耗、さらに皮膚表面の「気血」の流れが滞っていることによるものと考えます。ただ、活血薬は「温性」のものが多いため、併用には慎重に。
このように、組み合わせることで効果を高めていくことができますが、漫然と同じもので…ということではなく、症状に合わせた細やかな対応が必要であると考えます。