こんにちは。
中医学の発想は、主に内臓のバランスを整え、病気を治癒させるというものです。表面化にあらわれた症状を取り除く「標治(ひょうち)」と根本から治療する「本治(ほんち)」の2本立てで治療法を考える必要があります。
「病気の原因が本」で「症状が標」。
たとえば、水道が水漏れしているとして、とりあえず水が漏れている穴に布を詰めて栓をしてその場をしのぐのは「標治(対症療法)」にあたり、元栓を閉めて蛇口を修理することが「本治(根本治療)」にあたります。
ただ、床が水浸しの状態であるような緊急事態においては、まずは穴に布を詰めて水漏れを止めなくては…。応急処置が必要となってくるわけです。
病気の治療にも同じことが言えます。表面にあらわれた症状だけを取り除く「標治」よりも、原因を治療する「本治」を行うのが原則です。
漢方薬には「標治」を目的としたものと「本治」を目的としたものがあり、「標治」のあとに「本治」を…と段階的な治療をする場合と、「標治」と「本治」を同時にする場合とがあります。合わせて食養生も重要です。
食養生に重きを置く先生は、薬での治療は「標治」であり、食養生は「本治」であると…言います。それは本質だと思います。「医食同源」という考えがありますので、漢方薬の治療効果を十分に発揮するために、バランスの良い食事は無視できません。ただし、いくら体に良いものであっても、過剰に摂取することは害になります。
中医学の考えの中で、摂り過ぎ注意のものは、①甘いもの②油ものや肉類③香辛料の多いもの④洋食品、加工食品⑤牛乳、卵、魚介類⑥生もの、冷たいもの⑦コーヒー⑧アルコール類⑨タバコ…など。
これらは高糖質、高タンパク質、油っこい、冷たいもののため、消化吸収されにくいので、中医学でいう「脾胃(消化器系)」の機能を低下させ、体内に「湿熱(しつねつ)」を生じさせます。
この「湿熱」は経絡を通じて全身あちこちに運ばれ、様々な病気の原因となる可能性があります。内臓のバランスを崩せば内臓病に、皮膚のはたらきを破壊すると皮膚病に…。
「脾胃」は「後天の本」と言われます。飲食を消化吸収し、その栄養を全身に運び、人間の総てのエネルギー源になり、体の健康維持に対して重要な役割を果たしていることを指します。
つまり、胃腸の負担を軽くなれば胃腸が強くなり、血液がキレイになり、内臓が強くなり、元気になる…。元気になれば免疫力が高まり病気になりにくくなる…ということです。「湿熱」などの病気のもとをつくらせない…ということです。
「標治」と「本治」…これはセットで考える必要があると思います。