こんにちは。

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寒くなると、トイレが近くなります。中でも夜間の頻尿は不眠の原因となり辛いものがあります。

トイレが近いとき、尿の出が悪いとき…いずれも漢方では「八味地黄丸(はちみじおうがん)」などの「補腎薬」をよく使います。

相反する症状を同じ薬で治す…中医学では異なる病気を同一の処方で治療する「異病同治(いびょうどうち)」という考え方で、西洋医学の立場から見ると不思議に思われるかもしれません。

中医学では、「腎」を全身の水分代謝をコントロールする中心的な臓器であると考えていて、尿の生成や膀胱括約筋の収縮と弛緩を調整している…と考えています。この一連のはたらきには、全身を温める「腎陽(じんよう):エネルギーのもと」が重要な役割を担っています。

この「腎陽」が不足してくると、「腎」の水分代謝機能が低下し、頻尿あるいは尿の出が悪い…といった症状が出てきます。

「八味地黄丸」はこの「腎陽」の不足を補う代表的な漢方薬であり、お年寄りの尿失禁などにも効果があります。処方の中に入っている「附子(ぶし)」と「肉桂(にっけい)」には、脳や副腎皮質を活発にするはたらきがあり、これが「腎陽」を補い、はたらきを強める作用があります。これは、西洋医学にない、漢方ならではの治療法です。

「八味地黄丸」は温める作用が強いので、体が冷えて尿の色が無色透明な人に対して効果があります。今からの時期、トイレが近くなる人にはおススメです。

一方、体がほってたり、のぼせたり、尿の色が黄色い…などの人には注意が必要です。その場合は、「八味地黄丸」以外の「補腎薬」で改善していきます。