こんにちは。

先日、中医皮膚病IP講座がありました。

IP皮膚病講座とは、インターネットを使っての皮膚病の勉強会。全国の薬局の、皮膚病の事例検討会…といった様なものです。今回は中医師の韓(はん)先生が最終的に治療方針や漢方処方のアドバイスしてくださいます。

今回の事例は、20代と70代の女性の皮膚病。どちらもステロイド外用剤の使用歴が長い方でした。1人は全身の痒みとニキビ、多毛が見られ、塗り薬や抗ヒスタミンが効かないようでした。もう1人は手足にビッシリ赤みと紫斑、そして皮膚の萎縮がありました。

どちらもこれはステロイド外用剤を長期に使った副作用ではないか…という判断でした。

ステロイド外用剤の副作用には大きく5つに分かれます。

①皮膚が薄くなる(萎縮)→皮膚が裂けやすい、傷つきやすいなど。
②皮膚の毛細血管壁が弱くなる→毛細血管が拡張しやすくなる、赤み、紫斑など。
③毛包皮脂腺の異常活性化→ニキビが出やすくなる、多毛など。
④皮膚の易感染性の亢進→細菌やウイルスや真菌に感染しやすくなる。
⑤まれに全身的副作用→副腎皮質機能の抑制など。

副作用は基本的に、塗り続けている最中に、塗り続けているところにあらわれます。たとえば数ヶ月から数年間…今回の事例も、数年間にわたって塗り続けているようでした。

これらの局所の副作用は、いずれもステロイド外用剤がもつ本来の薬理作用が行き過ぎた結果として出て来るもの。したがってステロイド外用剤が強力であれば、それだけ副作用も出やすくなります。

ステロイド剤は短期集中として、必要なときには使う…ということです。炎症が落ち付けば、ランクを1段階落としたり、思い切って何日か休んだり…。とにかく、ダラダラ使わないことが大切です。

今回、ステロイド外用剤の長期使用の「ステロイド皮膚炎」の2例の実例の発表があり、とても参考になりました。